◆マイクロアグレッションとは?
「(正当な理由のない)小さな攻撃」。表現する側に自覚はないものの、日常的な言動の中で、特定の人々に対する「差別・偏見・無理解などを含む小さな攻撃」が行われることを指します。
表現する側が無自覚であるために、何度も繰り返され、対象となる人を徐々に傷つけます。
出典:福岡県教育委員会「KARA FULL」NO.8(2020.1)から
○人を傷つける意図を持ってわざと暴力的な発言をすること
↓
あからさまな差別を目的とした発言
○相手を傷つける意図がなくても、その言葉や行動が相手にとって不快になる結果となること
↓
・「 (日本で生まれ育った外国人に対して)日本語上手ですね」
・「 ブラジル人だからサッカーが上手だと思っていました」 など
○相手を傷つける意図がなくても、他者の考え方や経験を無視したり否定したりしてしまう結果となること
↓
・「 部落差別って昔のことでしょ?今はないよね」
・「 わざわざ学校で教えるから、部落差別がなくならないんだ」 など
「田川市人権問題に関する市民意識調査(2022年実施)」の結果から
「部落差別は昔の話よね」
結婚差別はない…64.0%
部落差別について「結婚の面」で「差別はない(「わからない」を含む)」と回答した人が64%でした。
しかし、今もさまざまな場面で差別や排除は残っています。差別的な言動を受けたつらさや「排除されないか」と不安な気持ちを抱えている被差別部落出身者は「今はない」と言われてしまうことで傷ついたり、モヤモヤしたりすることがあります。
「学校で教えなければいいのに」
そっとしておく方がよい…62.1%
部落差別問題(同和問題)の解決方法として「わざわざとりあげず、そっとしておく方がよい(「どちらともいえない」を含む)」と回答した人が62.1%でした。
「教えるな」ということは、今すでに差別を受けている人に泣き寝入りを強いていることにつながります。インターネットなどで間違った情報を得てしまうこともあります。教えないことが部落差別問題(同和問題)の解決とはなりません。
◆マジョリティに合わせて作られている「当たり前」
マイノリティ(社会的少数者)とマジョリティ(社会的多数者)とでは置かれている状況や立場が異なるため、問題の理解にずれが生じます。
マジョリティが当たり前と思っていることがときにマイノリティには差別や人権侵害となってしまう場合があります。
ポイントは
・ 世の中の当たり前はマジョリティに合わせて作られていること
・ 差別は「する」「しない」だけではなく意図せずとも発生し、社会環境の中に「ある」ものだから、差別をなくすためには、差別を容認したり助長したりしてしまう社会のあり方を変えることが必要です。
○マジョリティ
[社会的多数者]
・日本国籍の人
・男性
・異性愛者
・被差別部落にルーツがない人
・障がいのない人
など
○マイノリティ
[社会的少数者]
・外国籍の人
・女性
・同性愛者
・被差別部落にルーツがある人
・障がいのある人
など
◆マイクロといっても被害が小さいわけではない
マイノリティはマイクロアグレッションを日常的に受け続けていると考えてみてください。小さなトゲがたまに刺さる程度なら被害はたいしたことはないかもしれません。しかし、それが毎日何か所も刺さっていくとしたらどうでしょうか。
マイクロアグレッションは「累積性」「蓄積性」があります。長年マイクロアグレッションを受け続けることによって、メンタルヘルスへの深刻な影響があるとも言われています。決して小さな問題ではないのです。
詳細は本紙P.3をご覧ください。
出典:「マイクロアグレッションのメカニズムについて」(記録冊子「第55回特別展」 企画:BURAKU HERITAGE、( 公財) 福岡県人権啓発情報センター)より
マイクロアグレッションをもっと知りたい人は本紙P.3の二次元コードをご覧ください。
◆「気にしないよ」「関係ないよ」の持つ意味は?
~被差別部落出身者の体験談より~
被差別部落出身者ではない友人に自らの出身をカミングアウト(自己開示)したときに「話してくれてありがとう。でも、私は
(あなたが出身者であっても)気にしないよ」と返されました。“良かった”という気持ちになりながらも、違和感が残りました。
それは「私は部落差別をしないから大丈夫だよ」と言ってはいるものの「あなたが抱えている社会にある部落差別という問題は、
私には関係ないことだから」と言われているように感じたからでした。だから「本当に信じられる」「伝えても何かあったときに自分とともに考え、行動してくれる人だ」と思えないと伝えることができないのです。
以下の3つのことがわかってもらえて初めて、“本当の意味での安心感”を得ることができるのです。
(1) 世の中に部落差別という問題があり、それによって自分が苦しめられていること
(2) 被差別部落出身者と関わることで、社会的に理不尽な攻撃を受けたり、利害がおよんだりすることもあること
(3) 利害が絡んできたときにも私の味方になってほしいこと
(一社)部落解放・人権研究所『 月刊ヒューマンライツ』No.412を参考にして編集し、作成したものです。
問い合わせ:人権・同和対策課
【電話】85-7133
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