市は、1991年1月に策定した第3次直方市総合計画マイタウン2001において、福岡市・北九州市両都市圏の接点に立つ交流都市を目指し、新幹線新駅設置構想を掲げました。施策として、「人・物・情報の交流を盛んにし、地域の活性化を図るため、山陽新幹線新駅設置を目指すとともに、在来線筑豊本線と結節させ、県央中核都市としての機能集積を促進する」という内容でした。
その後、検討を進めましたが、多額の事業費を要することから2007年に新駅設置構想は凍結しました。ただし、構想については今でも持ち続け、2021年に策定した第6次直方市総合計画に引き継がれています。
一度は構想を凍結しましたが、その後植木地区には直鞍産業振興センターが開業し、さらには近接する地区に鞍手インターチェンジが開設。今年度からは、福岡県による直方・鞍手産業団地の造成が始まるなど、再び機運が高まってきました。
市では今後、植木地区にデータセンターをはじめとする企業誘致に注力していくことから、福北ゆたか線と新幹線が交差する同地区への新駅設置について、再び検討を始めました。
■第2回 直方宗像線沿線の第2回広域交通を考える勉強会
3月28日、新幹線新駅設置について勉強会を開催し、香原勝司(こうはらかつじ)県議会議長、花田尚彦(はなだなおひこ)県議会議員、近隣自治体の首長、直方市議会議員、直方商工会議所、近隣商工会議所および商工会、福岡県担当部署などから約40人が参加しました。勉強会では、中央大学経済学部の山﨑朗教授を講師に招き、「福岡中央駅(仮称)の建設に向けて」というテーマで講演を行っていただきました。
山﨑教授は、「当該地域は、在来線と新幹線が交差するだけでなく、新幹線と高速道路が並行して走っています。新幹線新駅と高速道路ICが近接した立地は全国的にもありません。通勤や通学といった人流だけでなく、将来の新幹線による物流の可能性にも対応できると考えられることから、新駅建設の合理性と正当性が十分にあります」と語りました。
■近年の市政における新幹線新駅設置の取組
令和4年12月 「第1回直方宗像線沿線の広域交通を考える勉強会」開催
令和6年3月 令和6年度施政方針において、新幹線新駅設置の検討を明記
令和6年3月28日 「第2回直方宗像線沿線の広域交通を考える勉強会」開催
■第2回直方宗像線沿線の広域交通を考える勉強会を終えて
◇県議会議長
香原勝司(こうはらかつじ)
現在、それぞれの自治体において、地域の特性を活かし、創意工夫した施策が講じられています。しかしながら、少子高齢化、人口減少の流れは止まりません。今回勉強会に参加された皆様も、今のままでは地域の未来に不安があるものと思っています。直方、宮若、宗像、鞍手といったそれぞれの立場を抜きにして、私たちは、今住んでいるこの地域の将来の発展につなげるためには、何が必要なのかということをしっかりと考え対応しなければなりません。
私たちの住んでいるこの地域は、福岡市と北九州市という2つの政令市の真ん中に位置しています。両政令都市への交通アクセスという視点では、高速道路では鞍手ICと八幡IC、北九州都市高速があります。公共交通機関では、バスと在来線の鉄道があります。しかしながら、新幹線については、停車する駅がなく通過するのみとなっています。この地域に新幹線新駅が設置できれば、両政令都市への時間距離の短縮が可能となり、未来への展望が大きく開ける可能性があります。
過去を振り返りますと、直方商工会議所を中心に新幹線新駅設置の動きがありました。やはり直方市単独で事業を進めていったことで頓挫をした経験を私たちは教訓としなければなりません。広域事業については積極的に県も参画することができることから、今後は、県としっかり連携することが大切になると考えています。そして、県の窓口として、私たち県議会議員の役割があると考えます。
新幹線新駅の設置は、私たちが次の世代に残すべき大切な財産です。今回の新駅設置の取組は、広域の視点を大切にし、様々な自治体や民間団体を巻き込む必要があると考えています。まずは、地域の中でしっかりとこの新幹線新駅設置に向けた機運を高めることが大切でしょう。
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