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直方の歴史と文化(第111回)

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福岡県直方市

■直方の炭鉱の歴史第4回筑豊石炭鉱業組合の事業

◇筑豊石炭鉱業組合の活動目標
筑豊石炭鉱業組合の事業の基本的な目標は明治二六年(1893年)に改正された規約第三条によれば次の通りです。(原文のカタカナ表記をひらがなに変更)
一.採炭事業に関する諸般の改良進歩を研究すること。
二.石炭販売に関し共同の利益を保護すること。
三.石炭運搬の便法を図りその取締方法を議定実施すること。
四.雇人および坑夫の制御及び賃銭並びに救きゅうじゅつ恤法に関し協議すること。
五.坑業に関する諸種の統計表を調整すること。
六.組合規約及び会議の決議を実施し違約者処分に関すること。
七.官かんが衙の諮しもん問に応答し組合の意見を陳述し又は坑業に関し建議すること。
八.坑業に関する官衙の布達その他不時商況の変動につき組合員の注意を促すこと。
九.組合経費収支に関すること。
十.官衙並びに組合員の報告に関すること。
十一.組合員の出入並びに名簿保存に関すること。
十二.組合記録に関すること。

◇筑豊石炭鉱業組合の活動実績
福岡県史近代史料編『筑豊石炭鉱業組合(一)』には次の通り記載されています。
「その主な活動は筑豊炭鉱業界の共同利益の保護と利害の調整に当たると同時に、救護練習所の設置、石炭坑爆発予防調査所の設立、鉱山学校の設立など必要な事業に積極的に取り組み、また「筑豊石炭鉱業組合月報」をはじめとする様々な刊行事業も行った。
とりわけ業界活動としては、大正十年1921年、生産カルテル組織である石炭鉱業連合会の発足に当たって大正三年1914年から同五年に筑豊で採炭制限を成功させた経験をふまえて、リーダーシップを発揮したことは特筆に値するであろう。
また大正七年1918年の米騒動後における労働運動の台頭に際しては、使用者団体として強い影響力を行使したことも注目される。
さらに地域社会に対しては公共施設への寄付などを通して大きな貢献をすると同時に、最有力同業団体として強い影響力を発揮した。
このような同業団体としての活動を推進するためにも活発な交渉・折衝を繰り広げた。その相手は石炭業界団体(生産・販売)、石炭輸送に当たる川舟同業組合・九州鉄道株式会社・鉄道院(鉄道省)、鉱山局・鉱務所(鉱山監督局)など鉱業行政当局、県庁をはじめとする地方行政機関およびその他関連する諸組織など広範囲に及んでいる。
このように筑豊石炭鉱業組合は筑豊石炭業界、地域社会はいうまでもなく、日本の石炭業界の歴史の上にも極めて大きな足跡を残したのである。」

文 榊 正澄

文化財に関する問合せ:文化・スポーツ推進課社会教育係
【電話】25-2326

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