◆認め合い学び合う場所「福岡多文化共育スペース」
▽福岡国際市民協会代表理事のブイ テイ トウ サンゴさんの話
国籍に関係なく子どもが安心して学び合える居場所をつくりたいと、ベトナムやネパール、インド、カナダ、中国にルーツを持つ保護者と日本語教師が集まって、昨年、福岡国際市民協会を立ち上げました。
それまでは、それぞれのコミュニティで活動していましたが、継続が難しく、場所や人材など共通の課題を抱えていました。一緒に活動することで、支援が集まりやすくなり仲間も増えました。
今年7月に、博多区の吉塚商店街にあるアジアンプラザで週3回、「福岡多文化共育スペース」をスタートさせました。生活・学習支援を必要とする親子が対象で、毎回30人程度が参加しています。
ここは、国際交流の場であり、さまざまな背景を持った子どもや保護者が、異文化の理解を深め、互いを尊重し学び合う場所です。漢字が苦手だったり、学校の授業に付いていけなかったり、日本で生まれ育ったために母国語があまり話せなかったり―。一人一人、日本語の習得状況や家庭環境も違うため、支援の仕方もさまざまです。中高校生には、オンラインでも進学や就職の相談に乗っています。保護者が手続き等で不安な時は、通訳として同行することもあります。
子どもたちがグローバルに活躍できるよう、英語教育にも力を入れています。母国の言語や文化を継承しながら、日本語と英語を学び、社会に貢献してくれると信じます。
福岡は、暮らしやすく多様性を受け入れてくれるまちです。この先、この子たちが元気に活躍できる素敵な場所であってほしいと思います。皆さん、どうか子どもたちに優しく接してあげてください。
防災勉強会など、誰でも参加できるイベントも不定期で開催しています。ぜひ遊びに来てください。
▽ある日の多文化共育スペース
≪午後3時過ぎ≫
「ただいま!」。小学校低学年の子どもたちが、ランドセルを背負ったままやって来ました。宿題をしたり本を読んだりして思い思いに過ごします。その後、中・高学年の小学生も加わり、にぎやかに。一つのテーブルに大人が1人付き添い、分からないところがないか、困っていることがないかを確認します。
[午後5時≫
英語講師をしている保護者によるレッスンが始まり、中学生や高校生も集まってきました。日本語が分からない子どもには、日本人ボランティアが個別に教えます。この日は、ネパールの祭りを紹介する催しがあり、きれいな衣装を着ている子どもや日本人の小学生もいます。お祭りの後、みんなで唐揚げとカレーをいただきます。
◆誰もが安心して働けるように「よるごはんミーティング」
毎週水曜日、留学生等を対象にした「よるごはんミーティング」が、博多区の冷泉荘など市内の会場で開催されています。外国人自らがGiver(ギバー)(与える人)となって、地域や企業の役に立てるような活動を行っています。
これまで30カ国、延べ千人以上が参加し、空港の入国時のサインが外国人に分かりやすいかをチェックしたり、外国人観光客のためのお薦めマップを制作したりしました。
▽留学生の就職支援を行う「YOU(ユー)MAKE(メイク)IT(イット)」代表の楳木(うめき)健司さんに話を聞きました。
2018年、日本語学校から依頼され、ベトナム人留学生16人の就職支援を行いました。全員、上場企業に見事就職し、彼らが福岡を出発する前に、居酒屋に招待してくれました。彼らを前に自然と涙があふれ、この仕事を続けていこうと決意しました。
就職率は、日本人大学生の約98%に対して、留学生は約44%です。厳しい現状の中で、彼らは懸命にビジネス日本語や日本的なコミュニケーションを学んでいます。自らが望む場所で、安心して働くことができるよう、サポートしています。
コロナの最中、留学生に食料を提供し、仕事と健康の相談会を行いました。県内の留学生361人が参加し、その中に「もっと地域と関わりたい」「何か手伝いたい」という思いを持っている留学生がいることを知りました。彼らの思いを形にしようと始めたのが「よるごはんミーティング」です。外国人を支援される人と決めつけていたのは、私たちの方でした。
福岡に来てくれた以上は、このまちを好きになってほしい。これからも、国籍に関係なく目の前にいる人に一生懸命向き合います。毎日多くの人に関わりながら、昔の「しょうゆの貸し借り」のような温かい関係を築いていきたいと思います。
特集記事に関する問い合わせは、国際政策課(【電話】092-711-4022【FAX】092-733-5597)へ。
▽留学生のチャン・ミン・ヒエウさんの話
短大2年生でベトナム出身です。よるごはんミーティングの運営を手伝っています。ここは仲間がいて安心できる場所です。夢は福岡でビジネスをすること。このまちが好きなのでずっと住み続けたいです。
◆福岡(ふくおか)に住(す)む外国人(がいこくじん)の相談窓口(そうだんまどぐち)
福岡市国際会館(博多区店屋町)1階にある「福岡市外国人総合相談支援センター」は、外国人住民を対象に、生活に関わる相談を対面または電話・メールで受け付けています。
○23の外国語に対応
心理カウンセリングや行政書士・弁護士による無料の専門相談も行っています。
≪福岡外国人総合相談支援センター≫
開館時間:月~金曜日午前9時~午後6時(祝休日、年末年始を除く)
【電話】0120-66-1799
※無料電話が利用できない場合は、福岡よかトピア国際交流財団(【電話】092-262-1799【FAX】092-262-2700)へ。
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