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開墾社(かいこんしゃ)・向浜塾(むかいはまじゅく)(西戸崎)
「歩・歩・歩(さんぽ)・会」
石井 志津子
JR香椎線西戸崎駅付近に、「開墾社」という青年道場がありました。開墾社とは、旧福岡(黒田)藩士が中心となり、大アジア主義を唱えた政治結社「玄洋社(げんようしゃ)」の前身です。
明治9(1876)年、明治政府に不満を抱く士族たちが起こした「萩の乱」に関与したとして、捕らえられた頭山満(とうやまみつる)は、獄中で敬愛する西郷隆盛が西南の役を決起したことを知りました。さらに板垣退助の民権運動に影響を受けていきます。
翌年、西郷隆盛が鹿児島の城山で自決した日に釈放された頭山満らは「青年の士気を挽回させなければ、先輩の霊を慰めることはできぬ」と、西戸崎に「開墾社」を開きました。集まった20歳前後の青年たちは、勉学に励み、心身鍛錬の自給自足の生活をしながら来るべき時に備える日々を送りました。
その後、開墾社は、「向浜塾」、「向陽社(こうようしゃ)」と名称を変え、明治14(1881)年に玄洋社と改称しました。玄洋社は、自由民権の普及や憲法の制定、国会の開設などに尽力しました。その後、第二次大戦後に解散しました。
昭和53(1978)年、中央区舞鶴二丁目に玄洋社記念館を開館し、現在は、この地に「玄洋社跡記念碑」が建てられています。所蔵資料は、福岡市博物館に寄贈されています。
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