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文化薫道(ぶんかくんどう) 〜文化の風が吹くまち ちくしの〜

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福岡県筑紫野市

■其の九十四 郡夫(ぐんぷ)の見(み)た幕末(ばくまつ)の景色(けしき)
江戸時代の終わり、新しい時代の幕開けを目前に日本各地は揺れていました。約270年続いた江戸幕府を中心とした旧幕府軍と、新しい時代を望む新政府軍の争いが激しくなり、やがて戊辰戦争(ぼしんせんそう)に発展しました。戊辰戦争といえば、薩長同盟や西郷隆盛、新選組などを思い浮かべ、どこか「ちくしの」とは縁のない話と感じる人も多いのではないでしょうか。
ところが、戦いと無縁なはずの「ちくしの」の農民たちが巻き込まれたことが分かる古文書が残されています。
江戸時代最後の年となった慶応4(1868)年2月、新政府軍から福岡藩へ兵を出すように命令が下りました。この時軍事物資を運搬するために従軍したのが、「郡夫(ぐんぷ)」と呼ばれる人々で、本来は郡内で行う土木工事の際に集められる農民でした。「ちくしの」を含む御笠郡からは19人が集められ、博多から船に乗って出発しました。
兵庫で船をおりた郡夫たちは、そこから陸地を北上するルートを辿りました。途中京都では、有名な知恩院や清水寺を参詣し、華やかな祇園や遊郭に目をみはりました。大津では近江八景の三井寺、壮大な琵琶湖の景色など各地の観光地も回ったようです。しかし江戸・船橋で状況は厳しくなり、これまでとは一転して、砲弾の飛び交うなかで物資を運ぶことになりました。
時に血の流れる戦の風景、時に色鮮やかな名所の風景を初めて目にした郡夫たちは、故郷に戻って新しい時代をたくましく生きたことでしょう。

問合せ:文化財課

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