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みんなで人権(じんけん)を考える「つなぐ」TUNAGU II

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福岡県筑紫野市

■「TUNAGU II」とは
人と人、心と心をつなぐ、世界とつなぐ―人権尊重のまちづくりの一環として、さまざまな人権問題について市民の皆さんと共に考えます。

■“声(こえ)わざ”の人権学習(じんけんがくしゅう)⁉
そのだ ひさこ
平安末期から鎌倉期の初めごろ、下層の民衆の間に「今様(いまよう)」という「はやりうた」が流行していた。今様とは、遊女、傀儡(くぐつ)、巫女(みこ)など遍歴する遊芸民のうたった即興の歌謡である。それを集めた『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』という歌集が編まれた。その編者は後白河院である。彼は今様にすこぶる興味をしめして愛し、自らも習ってうたって、膨大な今様を書きとめて残した。また、後白河院がけんめいに今様を習いにいったのは、下層の民である乙前(おとまえ)という70歳を超えた傀儡の所だった。
当時、今様のような即興のうたや表現を「声わざ」といったが、文字で書き残すことができる人々はそれを後世に残すことができる。声わざについて後白河院は、「声わざのかなしきことは、我が身崩れぬる後、留(とど)まることのなきなり」と詠み、自分が亡くなったあと、即興の「はやりうた」を誰も書きとめる人がいなくなるのは悲しい、と書き残している。
私は、書き言葉・文字は実はたいへん苦手で作文の宿題が一番嫌いだった。生育期、本などが身の回りに何もなかったことが大きい。そんな私が部落問題に出会い、部落史・賤民史を手さぐりしつづけていたとき、千年前の「声わざ」という言葉に出合い、新鮮な驚きと衝撃をうけた。今ふうに言えば、即興の技・即興の言葉とも言おうか。
私が部落問題に出合って50年余。大学を出るまで教育によって部落問題を習ったことはない。部落問題は部落の人に教えてもらい、後はひたすら独学である。気づけば、講演などによんでいただく機会が増えた。田川市のある中学には15年余、続けて呼んでいただいた。私の絵本『いのちの花』を読んだ生徒たちからの質問を受ける質問集会である。生徒たちの質問に初めの数年は答えていたが、だんだん「質問に答えない」質問集会へと変化していった。生徒からの質問を、私はすぐ答えずに一問ずつ一瞬一瞬その場でため込み、質問した人に逆に「あなたはどう思うの?」と質問する。すると、答えが返ってくる。その答えをまた、生徒たち全員へ「みんなはどう思う?」という質問に変える。この繰り返しのなかで、私が言いたかった大切な答えが、生徒たち自身の言葉で返ってくる。その時の生徒自身の感動、即興の問いを重ねた私の感動。生徒たちは、私の答えはすぐ忘れるが、自分で考え・発した言葉は忘れない。
一瞬一瞬、生徒に返す質問をその場で考え、生徒に返す「声わざ」で内容が深まる人権学習が私は大好きである
※傀儡とは、操り人形を見せるなどして諸国を旅した芸能集団

■ともに学びを
人権学習では、自分を大切にすることはもちろん、他者の大切さを認め、さまざまな場面や状況下で、具体的な態度や行動に現れるようすることを主な目的としています。そのため、学校では、同和問題をはじめ、障がい者問題、女性問題などさまざまな人権問題をテーマに、参加・体験・協力を大切にする授業形態を工夫しています。
近年、さまざまな人権問題が取り上げられ、さらに進んだ人権尊重社会の醸成が図られています。子どもだけでなくさらに進んだ大人の学びも求められています

問合せ:教育政策課

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