文字サイズ
自治体の皆さまへ

ちくしのびと chikushinobito(20)

1/45

福岡県筑紫野市

今〝輝いている〟人・団体を取り上げる「ちくしのびと」。
今回は、県知事指定特産工芸品として認定を受けた県内有数の工芸品『髙取焼』を制作する「髙取焼武蔵窯」の窯元、石田憲二さんを紹介します。

■きっかけとなる一品を
髙取焼武蔵窯 窯元 石田憲二(いしだけんじ)さん

▽Profile
昭和25年生まれ。市内武蔵在住。高校卒業から56年間、髙取焼の制作に取り組む。県展での入選経験もあり、現在は髙取焼の製造・販売に携わる傍ら、より多くの人に親しみをもってもらおうと出張陶芸体験などの普及活動を行っている。
趣味は、山歩きなどの自然とのふれあい。

▽歴史ある陶器、髙取焼
県内にさまざまある工芸品の中に、400年以上の歴史を持つ陶器、『髙取焼』があります。薄さと軽さが持ち味で、精密な工程や繊細な生地が特徴の髙取焼は、県内に数カ所の窯があり、その歴史と伝統から県知事指定特産工芸品に認定されました。
そんな髙取焼の伝統を継承し、多くの陶器を作り出しているちくしのびとがいます。石田憲二さん。父の代から続く髙取焼武蔵窯を切り盛りする、この道56年のプロフェッショナルです。
石田さんの作る美しい髙取焼を買い求めて、県内外から多くの人が窯を訪れます。また、依頼を受けてその人の希望に合わせた作品を制作することもあります。

▽唯一無二の陶器
髙取焼は、制作の開始から完成までに約2カ月ほど時間がかかります。また、陶器の成形、焼くときの火力と時間、陶器の色味につながるうわ薬の塗り方など、どの工程一つとってみても少しの変化で出来は大きく変わってきます。
髙校卒業後から髙取焼に携わり、長い経験を持っている石田さんですら、焼き上がるまで分からないこともあるといいます。「同じように作っても、同じものは二度とできない。そこが面白く、楽しいところです」と髙取焼の魅力を語り、どのようなものが出来上がるか楽しみながら制作しています。
飲食店などで偶然自分の作品と再会することがあると、すぐに自分の作品だと気づき、うれしくなるそうです。

▽生活に根付いてこその伝統
石田さんは、髙取焼の伝統を守りつつ、現代の生活に必要とされる陶器を作ることも重要視しています。「陶器は使ってもらうことが大切」と考え、常に使う人やその用途をイメージし、細やかな調整を行っています。そうして作られる髙取焼には、時間や手間と一緒に、石田さんの優しさや思いやりが込められています。
「どのような陶器なら若い人に使ってもらえるか、それが今の課題です」そう話す石田さんは、少し悩みつつもどこか楽しそうな様子です。

▽きっかけを、手元から
「日々の生活の中で、ふとしたときに髙取焼のこだわりや良さに気づいてもらう。そこから身の回りのさまざまなものに意識がまわり、思いを巡らせ、新たなものが見えてくる。髙取焼がそんな気づきのきっかけになれば幸いです」と石田さんは髙取焼へ思いを込めます。
石田さんの優しさや思いが形となって、美しい髙取焼が今日もまた生み出されます。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU