■[5 ジェンダー平等を実現しよう]なぜジェンダー平等が必要なのか?
男女共同参画社会基本法が施行されて、25年が経ちました。近年では、「男女共同参画」よりも「ジェンダー平等」(英訳はどちらもgender equality)という言葉を聞く機会が多いかもしれません。
基本法の前文では、少子高齢化の進展や社会経済情勢の急速な変化に対応していくために、ジェンダー平等社会の実現が緊要な課題としています。社会の活力低下や働き手の不足などの課題を解決するためには、性別に関わらず多様な人が社会に参画することが必要というわけです。
しかし、それだけではありません。前文では、日本国憲法にうたわれている個人の尊重と法の下の平等に言及しています。性別で差別されない公正な社会を作ることは、なによりも人権の問題なのです。
◇SDGsの目標にも取り入れられたジェンダー平等
「誰一人とりのこさない」を理念とするSDGs(持続可能な開発目標)でも、目標5として「ジェンダー平等を達成し、すべての女性および少女のエンパワーメントを行う」を掲げています。加えて、すべての目標達成のためには、ジェンダー平等の実現が「死活的に重要」であるとしています。まだまだ社会においては男性が決定権を握っていることが多く、そのため人口の半分を占める女性が取り残されがちだからです。
また、SDGsでは全ての目標において「ジェンダー主流化」を行うことが不可欠としています。ジェンダー主流化とは、すべての分野の施策にジェンダーの視点を入れること、つまり、性別によって状況やニーズが異なることをふまえたうえで、実態に基づいた施策を企画・実行していこうというアプローチです。
◇ジェンダー平等の視点をまちづくりに
例えば、東日本大震災では、備蓄品や援助物資での女性用品の確保の不十分さや、避難所での女性や子ども連れの人などへの配慮不足が指摘され、その後の災害対策の教訓となりました。また、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、エッセンシャルワーカーや非正規雇用が多い女性への影響が特に大きかったことが判明し、ジェンダー主流化の重要性が再認識されています。
海外では、ジェンダーの視点をまちづくりに生かす取り組みが進められています。スウェーデンのある自治体では、性別による移動パターンの違い(男性は車移動、女性は徒歩や自転車での移動が多い)を考慮し、車道優先だった除雪作業を歩道優先に変更したそうです。大雪の日でも女性が通勤・活動しやすくなっただけでなく、雪道で転倒してケガをする人が減り、医療費削減にもつながったといいます。
基本法前文では、ジェンダー平等社会の実現を二十一世紀の日本社会を決定する最重要課題と位置づけています。しかし、各国の男女格差を示すジェンダーギャップ指数の日本の順位は、146カ国中118位(2024年)と非常に低く、特に経済分野や政治分野で多くの課題を残しています。
粕屋町でも現在、ジェンダー平等のまちづくりを目指し、「第2次粕屋町男女共同参画計画」の策定を進めています。町の取り組みについて、多くの方に関心を持っていただけたら幸いです。
粕屋町男女共同参画審議会会長 武藤桐子
問い合わせ:粕屋町協働のまちづくり課
【電話】938-0173
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