信号無視のトラックにはねられ、胃ろうになった家族がいました。苦しさのあまり涙が出る痰(たん)の吸引を2時間に1回。無意識に管を抜かないよう、手はずっと縛られたまま。でも警察から「加害者にどのような対応を求めますか」と聞かれると、ほとんど動かせなくなった指先で何とか字を書き『加害者にも家族がいるでしょうから、穏便な対応を』と、伝えていました。「何かしてほしいことはありませんか」と聞くと『トマトが食べたい。牛乳が飲みたい』と。一生水も飲めないことは本人には知らされないまま、2年間生き続けました。6年経った今でも、交通安全の記事を書くだけで涙が出ます。
(野中)
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