文字サイズ
自治体の皆さまへ

行橋の農を護(まも)り継ぐ者たち 農業に新しい風を(2)

26/31

福岡県行橋市

◆CASE2 岡田功一
有機米、無農薬レンコン

◇農業の始まりは、1枚のチラシから・・・
実家で祖父母と三世代で二塚に暮らしていた岡田さん。父はピアノの調律師ということもあり、農業と岡田さんを繋ぐのは、米や芋を耕作していた祖父母との思い出だったそうです。
自然の中で育ちましたが、大学進学とともに福岡市内へ転出。就職後も福岡市や北九州市を拠点に、会社員を続けていました。帰省するたびに変わりゆく風景。田畑だった場所が“森”に変化していることを感じたそうです。高齢化が進む地域で、今後この地域がどうなってしまうのか、心配ながらも会社勤めを続けていました。
自身が農業をしなければ、さらに実家の田畑やこの地域が衰退してしまうと考える日々が続きました。しかし、農業経験のない岡田さんが仕事をしながら兼業農家になるのは難しい・・・。
そんな中、勤めていた会社の事情で、転勤せざるを得なくなったことを機に退職。農家になることを決意しました。
決意はしたもの、農業のノウハウが何もない状態。そこに1枚のチラシが届きます。北九州市内に住む妹からでした。それは、グリーンコープの農業体験「農業塾」の案内チラシでした。

◇人と人の出会いがレンコン作りに導いてくれた
早速、農業塾に申し込み、参加することになりました。田川郡赤村で、有機栽培の野菜や米を生産している株式会社鳥越ネットワークでの農業体験が始まりました。ここでは、実際に作ることのほか、研修会や周辺農家との交流会などが開かれ、充実した体験となったそうです。
ここで得たものは、農業の基礎だけではありません。農業を行う上で大切な、人と人との繋がりです。生産者同士の情報交換は、スキルアップや新規販路の開拓に重要な要素となります。
岡田さんは、周辺農家との交流会で、田川郡福智町のレンコン農家の方と出会いました。生産から販売まで1人で可能で、少ない投資でできないか相談したそうです。京築地域でレンコン農家は珍しく、冬場の冷たい作業さえ我慢すれば、1人で農家としてやっていけると考え、レンコン農家での修行を決意しました。これが、岡田さんのレンコン農家の始まりです。

◇農業って、心地いい
研修を受けながら、半年後には実家の田んぼでレンコンを作り始め、現在で6年目になります。実家の田んぼのほか、近くの田んぼも預かり、無農薬のレンコンと有機米の栽培を行っています。
就農当初は実家の土地のみで開始しましたが、地域の高齢化が進み、就農2年目からは近所の方たちに耕作を依頼されるようになりました。農薬を使わない栽培は、除草にも、通常の2倍以上の時間がかかります。大変な作業ですが、「地元にとことん溶け込んで、近所の人たちと会話をしながら生活できるのが、本当に心地いい。」と岡田さんは目を輝かせました。会社員時代、休日は疲れて寝て過ごすだけの日々が、農業をすることで人との繋がりが深まり、充実した生活に変化したそうです。
岡田さんは新しい農家の在り方として、就農1年目からInstagramを用いて積極的に農業や自身のレンコンについて、情報発信を行っています。それまで全く使ったことのなかったツールですが、県の普及指導センターでアドバイスを受けたことをきっかけに始めました。販売促進に繋がるだけではなく、全国の農業仲間と交流ができ、お互いに切磋琢磨できるところに魅力を感じていると言います。
現在56歳の岡田さんですが、「今のように農業ができるのは70歳くらいまでかな?再びこの地域に、耕作放棄地が増えるのは悲しい。これからの行橋を農業で盛り上げていけるように、後継者を育てたい。」と、今後についての意欲も熱く語ってくれました。

◆農業に新しい風を——
今回のクローズアップでは、「行橋の農を護り継ぐ者たち」第2章として、米・野菜農家の2人を特集しました。これまでの農業の常識を覆し、持続可能な農業をめざす松蔭さん。地域の高齢化を深刻に受け止め、行橋の農業が今後衰退ではなく、元気になれるよう後継者の育成も視野に入れている岡田さん。対照的に見えますが、農業に新しい風をもたらすことで、現在の行橋の農を護るだけではなく、後世を見据えた挑戦を続けている点で同じです。私たちが美味しいお米や野菜が食べられる背景には、常に向上心を持って挑戦し続ける、農家の方々の存在があることを忘れてはなりません。

(本紙写真)
(1)掘りたてのレンコンを流水できれいに洗う
(2)広報係も収穫体験。足を奪われ、ここまで進んで来ることさえ必死。
(3)水圧でレンコンをどんどん掘っていく。冬場は気温も水温も下がり、とても厳しい作業。
(4)そりを浮かべながら収穫を行う。重量は50kg にもおよぶ。このまま、畑の外まで運んでいく。

◆Let’s eat!
「サラダほうれん草」検索
松蔭さんのサラダほうれん草は、全国のセブンイレブン2,400店舗で『みらいデリやわらかほうれん草とベーコンのサラダ』として販売されています。

◇セブン-イレブンの『みらいデリ』シリーズ
みらいのことを考え、地球にやさしい食材を使用した商品。「環境にやさしいこと」「カラダにうれしいこと」に加え、「美味しいこと」を追求した新しい価値を提供するシリーズです。

「岡田さんちのレンコン」検索
岡田さんのレンコンは、京築恵みの郷ゆくはし店、採れたて市場(みやこ町勝山)、グリーンコープで購入できます。

レンコンの収穫や田植えシーンなど農業の様子や、販売情報を発信している岡田さんのInstagramはこちらからご覧になれます。(本紙2次元コード参照)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU