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【クローズアップ】行橋の農を護(まも)り継ぐ者たち~私たちの食と農をもっと身近に~(2)

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福岡県行橋市

■女性が輝ける場所 農業の楽しさを伝えていく
◇女性1人で農業こだわりがあるからこそやれる
椿市でいちじく栽培を行う和田恵美子さん。介護施設で社員として働いていましたが、和田さんもまた、お父様が亡くなられたことをきっかけに家業を継ぎました。令和5年の⼥性の基幹的農業従事者数は、前年に⽐べ5.9%減少。年々減少傾向にあります。女性が農業を生業にするには、家事・育児・介護等との両立が大きな課題となっています。和田さんはお父様が亡くなられたあと、お母様と2人でいちじく栽培を開始。その後、8年前からは一人で栽培から出荷までの作業を行っています。一人での作業…最盛期には、2か月で体重が最大7kgほど減少。「朝も早く大変な作業。なかなか人にお願いできない」。また、一番美味しい状態で食べてもらいたいという気持ちが強く、収穫には和田さん流の「タイミング」があると言います。大変だが、一人で頑張れているのは、マイペースに自分のこだわりを貫けるという理由もあるようです。

◇福岡県女性農村アドバイザーに就任
お父様がいちじく栽培を始められたのは、和田さんが高校生の頃。当時、収穫の手伝いはしていたが、年間を通しての作業等は全く知識がなかったそうです。そんな和田さんもまた、分からないことがあればすぐに県の普及指導センターやJAに相談。「講習もたくさん開催してくれる。問合せをすると、すぐに現地で指導をしてくれる」。積極的に講習に参加し、技術を習得していきました。転機は昨年度。県では、農業経営・農家生活の向上に意欲的に取り組む女性農業者を「福岡県女性農村アドバイザー」として認定していますが、そのアドバイザーに就任したのです。市内では和田さんを含め2人のみ。「まだまだ自分も修行中。いちじくのことしか分からない。今年はご近所の方々の協力もあり、裏の畑で野菜作りにもチャレンジしようと思っている。自分自身が色々な栽培技術を習得し、それを若い世代へ広めていきたい。」とアドバイザーとしての表情も見せてくれました。

◇もう一つの顔、母として・・・。
3人のお子さんを持つ和田さん。お孫さんも5人。さらにこれからお孫さんが3人増えるそうです。「私自身、3人の子育てをしながら勤めに出るために、母が助けてくれた。母の手助けがなければ、勤まっていただろうかと思う。子どもたちも働きながら子育てをしている。母が助けてくれたように、私も子どもたちのサポートをしてあげたい。」と語ってくれました。続けて、「農業は体力的には大変だが、農繁期以外は自分で時間をコントロールできる。孫が急に熱を出したとき、施設勤務のときは急に休みますとはなかなか言えなかった。今はそれが自由にできる。子どもの手助けができる、孫の世話をしてあげられる。そういった幸せを農業を始めたことで実感している。」と話してくれました。それぞれ時間軸や価値観は違いますが、和田さんは農業を始めたことによって、自分らしい幸せを見つけていました。

◆福岡県女性農村アドバイザー事業
地域農業の振興や、農村の活性化に繋がる活動を支援するため、農業経営、農家生活の向上に意欲的に取り組む女性農業者を「福岡県女性農村アドバイザー」として認定しています。認定後は若手の育成や指導を行い、農村の活性化を促進します。

◇試行錯誤、それが農業の最大の魅力!
大正時代から続く新田原の果樹農家。その分家の2代目が末永豊子さんです。末永さんは4人姉妹の3番目。ご両親の後を継ぎ、ご主人と桃やいちじく、ぶどうを栽培しています。小柄な末永さんですが、新田原果樹部会では婦人部役員としてアグレッシブに活動されています。末永さんの農園では、さくひめやあかつき等7品種をメインに栽培し、そのほか数種類をカタログで色や味の特徴や名前を見て追加をしています。「カタログを見ていると、どれも美味しそうで目移りしてしまう。中でも、最近のお気に入りは色鮮やかなルビー色の”あまとう“。」と目を輝かせながらお話してくれました。「桃栗三年柿八年」と昔から言いますが、果樹は野菜と違い、収穫できるようになるまで時間を要します。新しい品種を植えたとしても、すぐに収穫できるわけではありません。また、その土地に合うか、気候に合うかということも試してみないと分かりません。「やってみないことには分からない。これだ!というものに出会えたときが最も嬉しい。甘みがあり、自分の好みのものが収穫でき、お客様から美味しかったと言ってもらえたときは達成感でいっぱい。」と桃栽培の魅力を語ってくれました。

◇春は桜を、夏は桃を、楽しみにしてもらいたい。
農繁期には、岡山県の姉夫妻や市内に住む息子夫婦が収穫のサポートに来てくれています。北九州市出身の義理の娘さんは、「新田原の桃は、スーパーで買うものとは全く味が違う!ぜひ、たくさんの人に食べてもらいたい。」と作業の傍ら、笑顔でお話してくれました。桃は品種により、色や甘さ、硬さ、収穫時期等が異なります。そのため、長い期間、色々な種類を楽しむことができます。シーズンももう終わりと肩を落としていると、遅い時期に楽しめる品種が出ていることもあります。皆さんもぜひ、自分好みの桃を探してみてください。新田原において、長きにわたり桃の栽培を担う末永さん。「春は桜を待ち遠しく、楽しみに思うように、夏はこの新田原の桃を楽しみにしてもらいたい。そして、楽しみにしてもらえるような桃を作り続けたい。」と優しい眼差しで熱意を伝えてくれました。

■~私たちの食と農をもっと身近に~
今回の特集では、「行橋の農を護り継ぐ者たち」として果樹栽培の担い手3人をクローズアップしました。会社勤めでは得られなかった幸せや、農家でしか味わうことができない魅力を教わりました。そして、皆が団結し、行橋の果樹農家を絶やさぬよう努力する力強い姿も見られました。私たちの体は食べ物から作られています。このクローズアップを通して、消費者である皆さんと生産者の距離が近くなること、「食」への関心、そこからさらには「農」への関心が深まっていくことを願っています。

■行橋旬の果樹はこちらで
◇京築恵みの郷 ゆくはし店
場所:大字今井1258-2
問合せ:【電話】22-8057
営業時間:8:00~18:00
休業日:年中無休(9/30、1/1~4、3/31を除く)

◇採れたて市場
場所:みやこ町勝山箕田1302
問合せ:【電話】32-2931
営業時間:8:00~18:00
休業日:年中無休(9/30、1/1~4、3/31を除く)

◇国府の郷
場所:みやこ町国作464
問合せ:【電話】33-6620
営業時間:8:00~18:00
休業日:年中無休(1/1~4を除く)

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