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医療あれこれ

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福岡県飯塚市

〔テーマ〕細菌と抗菌薬(抗生物質)について
飯塚市立病院 薬剤室 主任薬剤師
中本(なかもと) 晴美(はるみ)

丸い顔のヒーローアニメの普及で、「ばいきん」が人に悪さをするという認識は幼少期から持っていると思います。悪さをして人を困らせた後は、たいていヒーローのパンチでやっつけられていますね。
「ばいきん」とは、病原性微生物と言われる細菌・ウイルス・真菌( かび) などを指すことが多く、これらは生き物に感染して病気を引き起こすことがあります。そしてヒーローによるパンチの役割を担うのが抗微生物薬です。
「ばいきん」とひとくくりにされていますが、細菌とウイルスと真菌では大きさも構造も異なり、感染の仕方も違います。そのため効果を発揮する薬も違ってきます。細菌に効果がある薬を抗菌薬( 抗生物質)、ウイルスには抗ウイルス薬、真菌には抗真菌薬というふうに分類されます。今回は細菌に対して使用される抗菌薬の話です。
細菌は、人間とは違った構造や機能を持っていて自力で増えることができます。そのため、人間に影響することなく、細菌の構造や機能にのみダメージを与える薬を作ることができるのです。ちなみに、ウイルスは私達の細胞の中に入り込んでその機能を借りて増えるため、ウイルスのみをターゲットにした薬を作るのは難しいそうです。
細菌は種類によって構造が違うため、それぞれに合った抗菌薬を選ぶ必要があります。もしも適正な抗菌薬を必要な期間使用しなければ、細菌は退治されないだけでなく、その抗菌薬に抵抗できる力を獲得してしまうことにもなります。この力を薬剤耐性と言います。細菌が色々な抗菌薬に耐性を持ってしまうのは恐ろしいことです。なぜなら、細菌に効く薬がなくなってしまうからです。
病原性微生物の世界はヒーローアニメの世界とは違います。いつでも必ず細菌がやっつけられるとは限りません。細菌を最強にしないためにも、処方された抗菌薬は途中で止めずにきちんと飲み切りましょう。また、手元に残っている抗菌薬を自己判断で服用しないようにしましょう。

※飯塚市立病院よりお願い
はじめて当院を受診される方は、かかりつけ医からの紹介状を持参してくださいますようお願いします。

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