〔テーマ〕窒息を予防しましょう
飯塚市立病院 リハビリテーション室
言語聴覚士 米谷(よねたに) 江梨奈(えりな)
冬に多い事故と言えば、窒息です。窒息が原因で亡くなる人は年間約9,000人(人口動態統計より)に上り、不慮の事故による死因では第1位となっています。12月~2月は、窒息による死亡者数が多く、そのほとんどが高齢者です。高齢になると、食べ物を飲み込む機能が低下したり、気管に食べ物が誤って入りそうになったときに咳をして出そうとする咳反射が低下したりします。また、食べ物は、よく噛んで唾液と混ざることで飲み込みやすくなりますが、加齢や服用している薬の副作用などによって唾液が十分に分泌されなくなると、食べ物が喉に詰まりやすくなります。さらに、歯の欠損など口のトラブルで、食べ物を細かく噛み砕くことができず、塊のまま飲み込んでしまい、詰まる場合もあります。
窒息の原因になりやすい食事は、餅、ごはん、さつま芋など粘り気が多いものや、肉やタコなど硬く噛みにくい食材などが挙げられます。パンや人参など硬い野菜類、果物類、アメ、ゼリーなどの菓子類も、ものによっては喉に詰まりやすいため注意しなくてはならない食品です。
窒息を防ぐには、(1)食べ物を細かく刻む(2)少量ずつ口に入れる(3)ゆっくりよく噛んで食べる(4)水分を摂りながら食べる(5)食べながら話さないようにすることが大切です。
もし窒息が起きてしまった際に注意したいのは、「食べ物が喉に詰まっている時には水は飲まない」ということです。食べ物が気管に詰まっている場合、水が気管に入り食べ物を奥に押し込んでしまう可能性があるためです。
喉に詰まった異物を取り除く方法として、(1)腹部突き上げ法(2)背部叩打法がありますので、詳しくは消費者庁HPをご確認下さい。これらの方法や咳などによって異物を出すことが出来たとしても、一部が残っている可能性もあるので、速やかに受診しましょう。
「最近食べ物が喉に詰まりやすくなった」などの症状がある際には、何らかの病気の可能性があるため医療機関を受診し、相談されて下さい。
※飯塚市立病院よりお願い
初診の方は、かかりつけ医より紹介状を持参していただくようお願いします。
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