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市民の健康教室

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福島県いわき市

■食道がん
食道がんは、喉元から胃までをつなぐ胸の奥の食物の通り道にできるがんです。初期には症状はありませんが、進行すると刺激物摂取時の胸痛や食物のつかえ感などが生じ、更に進行すると栄養障害や声枯れなども出てきます。早期に発見されれば内視鏡で手術可能で、5年生存率は75%以上ですが、転移を生じてしまうと、20%程度まで低下する予後の悪いがんです。
手術は、胃を細長く成形し、胸の中を引き上げ、首の食道とつないで食物の通路を再建します。頚部(けいぶ)、胸部、腹部の3カ所の操作を要する長時間で侵襲の大きな手術のため、術後合併症が出易く、社会復帰にも時間がかかります。高齢者や、併存疾患が多い場合は手術を受けるリスクが高いと判断され、放射線治療や抗がん剤治療に変更されることもあります。
かつて日本人の食道がんは、食道粘膜の扁平上皮細胞から発生し、胸部中部に多く、習慣的飲酒や喫煙などがその発生要因とされ、70~80歳が好発年齢でした。近年、食生活の欧米化が進み、肥満や喫煙、逆流性食道炎などが背景となり、胃と同じ腺細胞から発生する食道腺がんが増えつつあります。食道腺がんは胃と食道の接合部近くに生じ、比較的若年にも発生し、発見が遅れて予後は悪い傾向にあります。
食道がんにならないためには、飲酒の制限、禁煙、欧米型の食生活の見直しが勧められます。また、早期に発見されれば完治も可能なため、発生リスクが高いと判断されれば、定期的な検診を受けることが効果的です。

■けんこうQandA 循環器科(5)
ー「心不全」を理解し、防ぎ、守り、共に生きるために知っておくべきことー
Q:心房細動と言われ、血液をサラサラにする薬を使った治療が開始されました。心不全は心配ないと言われたのですが大丈夫でしょうか?
A:心房細動により有名なプロスポーツ選手が重篤な脳梗塞を発症したことを覚えている方も多いと思います。しかし、実は脳梗塞よりも心不全の方がより命を落とす可能性が高い病態です。脳梗塞に対しては、新しい抗凝固薬の登場により、安全に血栓予防ができるようになりました。抗凝固薬は腎機能や体重の変化、貧血の進行の有無を確認しながら、容量の調整が必要ですので、主治医の先生と相談しながら治療を継続しましょう。現在の心房細動患者さんの死亡原因の第1位は心不全や不整脈になっています。その比率は実に46%にも上りますが、加えて高血圧があることで病態は更に悪化することが判っています。少なくとも収縮期血圧136mmHg未満に管理することで、血栓塞栓症や大出血を防ぐことができると言われていますので、決められたお薬をきちんと服用し、血圧の管理も怠らないようにしましょう。

■形成外科医療録(5)
ー耳と形成外科ー
形成外科で扱う耳の病気は、先天性疾患がほとんどです。まず副耳は、耳の前で皮膚が小さく突起した疾患です。放置しても問題ありませんが、手術される場合が多いようです。比較的多い疾患です。
次に小耳症は、完全な耳の形まで至らない疾患で程度は様々です。症状により肋軟骨を使った再建手術が必要で、聴力障害を伴う場合は耳鼻咽喉科とも連携します。
埋没耳は、耳の形や大きさは正常でも、耳の上部が頭部の皮膚に埋もれてしまう疾患です。軽度の場合は自然と治癒したり埋もれなくなったり、テープや装具などで矯正可能な状態もあります。矯正されない場合には手術で治療します。
先天性疾患ではありますが、ある程度成長してから受診する疾患として耳瘻孔(じろうこう)があります。これは耳の前に小さな皮下のトンネル(瘻孔)が残る疾患です。人によっては、細菌を起こし痛みや腫れをきたし、治療が必要となります。
他にも様々な耳の変形がありますが、美容上の治療は保険外診療となることもありますのでご注意ください。

◎かかりつけ医の紹介・相談は、医師会事務局へ(ホームページURL【HP】https://www.iwaki.or.jp)

提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
【電話】38-4201

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