■港における二つの法的機能
本市には、いくつもの港を控えていますが、その機能は一様ではありません。全てが漁港としての機能を持っていますが、法的には海上輸送や海上交通の拠点となる港は「港湾法」に規定されており、小名浜、江名、中之作、久之浜の各港が指定されています。
このうち、久之浜港は港湾法と「漁港漁場整備法」の二つの法律で規定されています。つまり、久之浜港の「避難港区域」は港湾法、「漁港区域」は漁港漁場整備法にそれぞれ規定されているのです。久之浜港の漁港としての機能はよく知られていますが、港湾法に基づく避難港としての機能はあまり知られていません。
避難港は暴風雨に際し、小型船舶が避難のため停泊することを主たる目的とし、通常貨物の積卸しまたは旅客の乗降をしない港湾、と規定されています。
福島県では北は南相馬市鹿島区の鳥崎岬(とりざきみさき)から塩屋埼までの海域は海岸線地形の変化に乏しく、投錨地(とうびょうち)がないことから、久之浜町は長い間設置の要望を続けてきました。この運動が功を奏して昭和32(1957)年5月に避難港に指定。昭和37(1962)年から国や県の補助などを得て、港の整備を進めてきました。
平成元(1989)年には沖防波堤が完成、航行の安全に寄与しています。
(いわき地域学會 小宅幸一)
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