■『赤あざ』
血管の形態異常には、血管腫・血管奇形、なかでも血管腫は俗に赤あざとも呼ばれます。血管腫・血管奇形は大きく以下のように4つに分類されています。
(1)乳児血管腫(いちご状血管腫)は、生直後あるいはしばらくしてから皮膚に鮮やかな赤いあざが盛り上がってくる疾患です。未治療でも数年ほどである程度赤みや盛り上がりが引けていくこともあります。治療としては経過観察や色素レーザー照射、内服治療が一般的です。
(2)毛細血管奇形(単純性血管腫)は、生直後から出現している平坦で色味が均一な淡い赤あざです。未治療では消えることなく、成人になって盛り上がることがあります。治療は色素レーザー照射や手術治療となります。
(3)静脈奇形(海綿状血管腫)は、静脈自体が拡張したり、結び目のようにからまって腫瘤状になる疾患です。赤あざと言うより、青みがかっていたり、手足に発症すると外周が太くなったりします。治療には手術や血管の硬化療法などがあります。
(4)動静脈奇形は、動脈の血行が直接静脈へ流れる疾患です。体表だけでなく、深部から各種臓器まで全身に発症します。治療は手術や塞栓療法などがあります。
血管腫・血管奇形とひとくくりにされてはいますが、以上のようにその種類だけでなく発症した部位や大きさなどによって治療内容が大きく異なります。
■けんこうQandA 放射線治療(9)
Q:前立腺がんの放射線治療について教えてください(その(2))
A:前回説明した外部照射に加えて、小線源治療という方法があります。小線源治療には2つの方法があり、50~100個の小さな線源を前立腺内に埋め込む永久挿入密封小線源治療と、前立腺内に線源を一時的に留置する高線量率照射があります。どちらも、2~3日の入院で治療は終わりますが、治療できる病院が限られているという問題があります。
前立腺癌の放射線治療には、共通した副作用があります。治療中あるいは治療後1~2か月は、膀胱や尿道の炎症により排尿回数が増え、排尿時痛や排尿困難が見られることがあります。また、直腸の炎症により肛門部の違和感、排便時痛、少量の血便がでることがあります。さらに、治療終了後1年以上経過してから血便や血尿を経験することもあります。最近では、治療前に前立腺と直腸の間にハイドロゲルという薬剤を注入し直腸の線量を少なくする技術が開発され、治療中や治療後の直腸への悪影響を少なくできるようになりました。
■乳腺外科(9)
ーアドバンス・ケア・プランニング(ACP)ー
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、人生の最終段階における医療やケアについて、前もって考え、話し合い、決めておくプロセスです。患者さん本人の意思を尊重した医療やケアを提供するため、治療の選択肢、緩和ケアの希望、最期を迎えたい場所などについて話し合います。乳がん患者さんにとってACPは、自分の価値観や希望を医療チームや家族と共有する重要な機会となります。
近年、ACPの重要性が高まっており、2024年度の診療報酬改定では評価項目に加わりました。医療機関でのACP実施の促進が期待されています。
しかし、ACPの標準的な実施方法はまだ確立されておらず、目下の課題となっています。患者さんの多様なニーズに応えつつ、効果的にACPを進める方法の研究や開発が進められています。
ACPは乳がん患者さん本人にとって、自分らしい医療とケアを選び、自分らしい人生の最終段階を迎えるための大切なツールです。また、家族にとっても、患者さんの最期の意思を可能な限り尊重するための大事なツールとなります。医療者と相談しながら、ACPに取り組んでみることをお勧めします。
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(ホームページURL【HP】https://www.iwaki.or.jp)
提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
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