■ポリファーマシー
いくつかの病気を持っていたり、日々の体調不良などで複数の医療機関を受診することはよくあることです。このような場合、各病院、各診療科でそれぞれ別々に薬が処方され、結果として薬の数が増えてしまうことがあります。また、似たような成分の薬が重複してしまうこともあります。場合によっては、多くの薬を服用したことによる副作用や、数が多すぎて薬が飲めないなどの不都合が起こることがあります。これをポリファーマシーといいます。複数を意味する「ポリ」と調剤を意味する「ファーマシー」を組み合わせた言葉です。
とりわけ高齢者では、加齢による内臓機能の低下から、薬を分解し体外に排出するのに時間がかかります。そのため、それぞれの薬が互いに影響しあい、ときには効きすぎたり、ときには効かなかったりということがおこります。副作用も出やすくなります。何種類の薬でポリファーマシーになるという明確な基準はありませんが、高齢者では6種類以上の薬で有害事象が発生しやすくなるという報告もあります。
ポリファーマシーを防ぐには、治療中の病気、使用中の薬剤、服薬状況などを医師、薬剤師にしっかりと伝えることが必要です。使用している薬の情報は1冊のお薬手帳にまとめて整理しておきましょう。正確な情報がポリファーマシー対策には不可欠です。また、薬が追加されたり変更されたりしたときには、いつもと違った症状がないか注意しましょう。自己判断で勝手に薬の量を調節せず、医師や薬剤師によく相談することも大切です。
■けんこうQandA 放射線治療(1)
Q:放射線治療と放射線診断の違いを教えてください。
A:今年度の「市民の健康教室」では放射線治療についてQandA方式で解説します。今回は放射線診断と放射線治療の違いについてのお話です。放射線診断は、放射線を用いて体内の病巣を画像化し、病気の診断を行います。放射線診断には、比較的低いエネルギーのエックス線(X線)やガンマ線が用いられます。X線写真やCT検査、PET検査などが放射線診断に含まれます。
一方、放射線治療は、放射線を用いて体内のがん細胞を死滅させることを目的としています。放射線治療でもX線が最も多く用いられていますが、高いエネルギーのX線が必要です。装置が大型で高額なため、放射線治療は限られた病院でしか受けられません。いわき市内では、いわき市医療センターと福島労災病院の2施設で放射線治療が受けられます。(豆知識)X線写真とレントゲン写真は同じものです。レントゲンはX線を発見した人の名前で、最近ではX線写真と呼ぶのが一般的です。
■乳腺外科(1)
ー乳がん検診・早期受診のすすめー
乳がんは現在、女性では日本で最も発病数の多いがんです。1年間に発病する女性は9万7,812人(2019年)、実に女性の9人に1人が一生のうちに乳がんを経験すると言われています。
市民の皆さんにまずお伝えしたいのは、40歳以上の女性は、どんなに忙しくても2年に1度、乳がん検診に行っていただきたいということです。乳がんは、検診の効果(死亡率の減少)が確立されている数少ないがんの一つでもあるからです。
2020年度、いわき市の乳がん検診受診率は、残念ながら20.3%と極めて低い水準でした。その理由はきっと様々でしょう。それでも、もしご家族や友人に乳がん検診を受けるか悩んでいる方がいらっしゃいましたら、その想いを受け止めつつ、どうかそっと背中を押してあげてください。
◎かかりつけ医の紹介・相談は、医師会事務局へ(ホームページURL【HP】https://www.iwaki.or.jp)
提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
【電話】38-4201
<この記事についてアンケートにご協力ください。>