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【歴民コラム】三春歳時記 師走(しわす)

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福島県三春町

12月は、一般的に年末で誰もが忙しく、師匠も走るということで、師走となったと言われています。ほかに、1年の最後であることから極月(ごくげつ)や限月(かぎりつき)とも呼ばれ、江戸時代の古文書などでは臘月(ろうげつ)と記されることが多く、臘は新年と旧年をつなぎ合わせるという意味です。二十四節気では、7日が大雪(たいせつ)で遠い山の峰が雪で覆われ、21日は冬至(とうじ)で太陽が最も低く、昼が一番短い日となるので、冬本番を迎える時期です。
12月8日は事納(おことおさ)めの日で、カゴ吊るしや筆納めをするほか、各種の師匠や大家などへ豆腐を贈りました。また、日は決まっていませんが、門松迎えをして、屋敷の門や玄関、祠や土蔵など各所に松を飾り、煤払いをしました。そして、20日を過ぎると正月準備が忙しくなり、食材や正月道具を買いそろえました。このほか、農村部では25・26日に納豆ねせをしました。この納豆は節納豆(せちなっとう)と呼び、神仏に供えたり、進物にするほか、納豆の糸の出具合から来年の蚕の出来を占ったりもしました。
家老の細川家では、23日の早朝から大量の餅をつき、寺や親戚へも贈りました。その晩は、餅を叩いて囃すほか、注連縄(しめなわ)を撚った後、手伝いの人たちと祝いました。27日には障子や行燈の紙を貼り替え、28日に餅や注連縄を各所に供え、床の間や神棚、仏壇、祠を飾付け、蓬莱(ほうらい)飾りや屠蘇銚子(とそちょうし)の準備しました。また、正月の来客に記帳してもらう年始帳をこしらえ、硯箱とともに玄関、台所、門に備えました。そして、大晦日は夕方4時から屋敷の門を開いて、歳暮の来客にためのざくざく煮しめ、炒り蒟蒻、数の子と酒を準備しました。ざくざくは、芋と人参、牛蒡、焼き豆腐、蒟蒻を煮ました。夕食は祝膳で、塩引の焼物、汁、香の物、ざくざくと飯で、食後に豆と山椒を入れた福茶を飲み、井戸へ屠蘇袋を入れました。また、この晩のうちに掃除や雑巾がけをして、雑煮や正月料理、酒の肴や子どもたちへの年玉の準備もしました。

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