6月は別名「水無月」といいますが、梅雨時で水が多い時期なので、違和感があります。水を田んぼに引いたために無いという説もありますが、逆に水の月であるとか、田んぼに水を張る水張月などともいい、正確な由来はわかりません。二十四節気では、5日が田植えの時期である芒種で、21日が1年で最も昼が長い夏至です。
また、三春町の花で、サツキの一種である松波が白地に紅色の絞りが入る華やかな花を咲かせ、三春駒の材料となる朴の木も開花し、甘い香りが漂う季節です。
1日は「むけ(剥け)の朔日」といって、この季節にヘビやカイコが脱皮するように、人間もひと皮むけて成長する日といわれました。この日は、ヘビが桑の木の下で脱皮するので桑畑に入ってはいけない日とされ、井戸はらいの日でもありました。
また、氷の朔日・氷室の朔日ともいい、宮中では氷室で保存した氷を食べる日とされ、三春でも歯固めと称して、保存していた餅を煎ったり、水に浸して食べたといいます。同じように土用入りの日も、餅を煮て食べたり、小豆やニンニクを水に入れて飲む風習があり、夏の暑さを乗り越えるための行事のようです。
そして、旧暦の6月は夏祭りシーズンで、13日から15日が藩の総鎮守だった大元明王(現在の田村大元神社)の祭礼でした。武士は正装して参詣し、町人や周辺の農村からもたくさんの人が城下の屋敷を訪れるため、各屋敷では酒や料理を振る舞いました。祭りでは、荒町の長獅子が先祓いをし、その後にたくさんの子どもたち、楽人、音頭、小躍り、中老、泰平奴といった集団が唄い踊り、最後に三匹獅子が舞う100人以上の行列が、3日間かけて町中を練り歩きました。
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