9月は、旧暦だと段々昼が短くなって、秋の夜長を迎える頃となるため、「夜長月(よながつき)」を略し長月となったといわれています。二十四節気では、7日が白露(はくろ)、22日が秋分です。次第に秋めいて、草木がしらつゆを宿し、秋の彼岸の中日にあたる秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになります。そして、子育てが一段落したツバメが南へ旅立ち、セミの声が秋の虫に替わり、ススキの穂が出て、ヒガンバナ(曼珠沙華)も開花する時期です。
現在では、ほぼ廃れていますが、9月9日は五節句のひとつ重陽(ちょうよう)の節句です。重陽とは、最も大きな陽数(奇数)である9が重なるめでたい日なので、古代の中国では菊の花を飾って酒を酌み交わしたといいます。日本でも菊の節句と呼ばれ、菊の花を酒にひたして飲んで祝いました。また、九州地方で現在も盛んな祭礼「くんち」は、元々「9日」のことで、重陽の節句の祭りでした。三春の武士たちも、登城して屋敷へ帰ると寺を詣で、その後、それぞれの家に親戚たちを迎えて節句を祝いました。
旧暦8月15日は仲秋の名月で、今年は9月17日になります。三春藩士の家では、団子を12個(閏月のある年は13個)こしらえ、芋や柿、栗、梨、大根、小豆などと供えました。このお供えは、男の人だけでこしらえ、女の人は参加できなかった家もあったようです。また、9月の9日・19日・29日を三九日(みくんち)といい、この日に茄子を食べると病気にならないといいました。そして、10月になると神様が出雲に出かけるため、9月末日に赤飯と御神酒を神棚に供えて、各家で神様を送り出しました。
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