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健康通信

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茨城県常陸大宮市

◆NASH(非アルコール性脂肪肝炎)について
・内科医長 加藤 夏樹

脂肪肝という言葉は聞いたことがあると思いますが、NASHという言葉についてよく聞いたりご存知の方は多くはないと思います。日本語では、非アルコール性脂肪肝炎と言われています。お酒の飲みすぎや肝炎ウイルスの存在によって肝臓が悪くなってしまう人がいますが、そのような原因がないにも関わらず肝臓に脂肪が付いて線維化が進み、程度にもよりますが最終的には肝臓が弱り切った肝硬変の状態になってしまう可能性がある病気です。肝臓の病気全般に言えることですが、NASHという病気を持っていても症状がないことがほとんどのため、知らず知らずのうちに肝臓が弱っていき、いざ肝硬変の状態になると倦怠感や食欲不振、足のむくみ、お腹の張り、手足の攣(つ)りや震え、吐血などが一気に出てきます。また、肝臓がんも出現しやすくなります。一度弱ってしまった肝臓を元通り元気にする薬というのはないため、肝臓が機能しなくなってしまうような場合には肝移植を行うかどうかになりますが、肝移植には肝臓を提供してくれるドナーの問題や移植後の適合の問題などがあるため実際に行うのは容易ではありません。そのため、症状が出る前に早期に病気を発見して肝臓が悪くなる前に治療を行っていく必要があります。
NASHは症状が出にくい病気のため、見つかるきっかけとしては健診の血液検査や腹部エコー検査で異常を指摘されたことで病院を受診したり、他の病気で病院を受診した際に偶発的に見つかることがほとんどです。NASHの場合、血液検査では肝機能障害、腹部エコー検査では脂肪肝と指摘されることが多いと思います。時折健診で異常があり要精密検査、要病院受診となっていても、指摘されている異常が脂肪肝だからと甘く見て病院を受診しない方もいらっしゃいますが、腹部エコー検査だけでは単純な脂肪肝なのかNASHなのかの鑑別は困難なため、健診で異常があり病院受診を指示されている場合はきちんと受診して検査をした方が良いと思います。
NASHの治療として最も基礎的で重要なのは運動、食事療法による減量です。肥満を伴う場合、炭水化物や脂質を控えたカロリー制限食、1回30~60分・週に3~4回程度の運動を行い体重を減らすことで、肝臓の脂肪を減らし肝障害を改善させる効果が望めます。また、NASHに罹(り)患している人は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を合併していることも多く、そちらの治療も併せて行っていくことが重要です。何事も早期発見、早期治療が重要ですので、思い当たる節がある方は病院受診してみてはいかがでしょうか。

今月号をもちまして、「健康通信」「常陸大宮済生会病院 救急患者受入状況」の掲載を終了いたします。長きにわたり、ご愛読いただき、ありがとうございました。

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