■第65回県農業賞(農業経営改善部門)受賞
有限会社穂友(ほゆう)代表取締役 梅澤 博之 さん(霊山地域)
耕作放棄地を生み出さないため、「穂友」は水稲栽培を作業受託という形で積極的に受け入れてきた。梅澤さんから「誰か一人欠けてもできなかった。積み重ねの成果です」と受賞コメントが聞けた。思いを新たに、地域農業の発展にこれからも貢献していく。
◇地域のため「しっかり守りたい」
有限会社「穂友」は、平成8年3月に設立された育苗センターの運営主体「霊山町水稲機械利用組合」を法人化したもので、水稲の苗供給や田植え・稲刈り・調整(籾摺(もみす)り)などの受託を行ってきました。
当時、果樹専門だった私は、育苗センターで田植えオペレーターから稲作のイロハを学びました。その時に学んだ5人が、今の「穂友」を立ち上げたんです。みんな自宅で農業をしながらでしたが、うまく立ちいかなくなって「人任せでは長続きしない。本気でやらなければ」と、私が最初に専従で組織に入ったんです。当時の決断が今につながってると思うと感慨深いですね。
◇商売サイドではなくて…
直売所に出してくれる農家サイドで動く気持ちが強まったのは、震災時から。なんとしても農家を守りたくて、当時、会社として放射性物質の吸収抑制対策を伊達市から受託しました。
直売所の売り上げは震災前がピークでした。会員さんも高齢化が進み、店を畳むことを考えましたが、憩いの場としても来てくれる地域の皆さんに支えられています。「復興・絆プロジェクト」の収穫祭といったイベントを大切に、これからも守っていきたいですね。
◇儲かるわけない(笑)でもやる
最盛期は役員だけでは手が回らないので、近隣農家さんを臨時雇用して乗り切ります。それでも、ここがなくなったら困る農家さんがいる以上、やり続けますよ。スマート農業としてパソコンでほ場情報を管理するなど工夫は絶えませんが、何より、若い役員が入ってくれたことで地域農業の未来は明るいなと、ほっとしています。
[Profile]うめざわ ひろゆき
1956年生まれ。68歳。霊山町で生まれ育つ。高校卒業後、就農。「長男だから…というより自分で決めた進路」と話す。
●有限会社 穂友
霊山町小国地区にある農業生産法人。平成15年に法人化。厳選したブランド米「うまい米」はとにかくうまい。道の駅などで販売、ふるさと納税の返礼品に使われている。「農産物直売所かぼちゃ」の運営も行う。
営業時間:8時30分〜17時
定休日:年末年始
主要作物(経営規模):水田967アール、畑57.6アール
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