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市長コラム 第63回

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福島県伊達市

■「未来予想図」
須田博行

「未来予想図」というと“ドリカム”の歌を思い出す人も多いと思いますが、今回は鉄腕アトムで描かれた未来を書いてみたいと思います。
鉄腕アトムは、手塚治虫のSF漫画で、1952年に少年雑誌に連載が開始されました。感情を持った少年ロボット“アトム”が21世紀を舞台に活躍する物語で、「こんな未来があるんだ」と全国の子供たちが想像力を全開にワクワクしながらテレビを見ていた時代でした。
物語の中では、21世紀の未来都市として、空飛ぶクルマ、TV電話、各種ロボット、植物工場などが描かれています。創刊から約70年が経った今では、AIやIoT※などの先端技術を活用し、ドローンや産業用ロボット、スマートフォン、野菜工場などが開発され、創刊100年後の2050年代には、ほぼ物語に描かれた未来は現実のものになってくると思われます。
さて、その2050年について、ショッキングな報道がありました。国立人口問題研究所は、全国の約4割の市町村で生産年齢人口(15~64歳)が2020年と比べ半数以下になると公表しました。伊達市においても働く世代が54%減少するとの数値が示されました。働き手が大幅に減ることは、地域の各種産業において深刻な人手不足となり、経済活動に大きな影響が出てきます。基幹産業である農業の担い手不足が加速し、生産量の大幅な減少を招く恐れもあります。
鉄腕アトムで描かれた“夢のある未来”と、働き手不足で見えてくる“厳しい現実”。どちらが待ち受けているのかはわかりませんが、先端技術開発で世界に遅れを取っている日本は、後者の方向に進んでいるように思えます。そして、その厳しい未来を生きるのは今の子供たちに他なりません。
AIやIoTなどの先端技術がオールマイティとは言いませんが、働き手が半減する中で、私たち大人はもっとその必要性を理解し、活用し、発展させることで“夢のある未来”が創れることを示さなければならないと思います。未来を生きる子供たちにそんな「未来予想図」を渡す必要があると思っています。

※Internet of Thingsの略。身の回りのあらゆるものがインターネットを介して通信すること。

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