■旧五十嵐家住宅(5)
どんな民家が古いか(間取り編)
墨書(※)からわかる時代
先月の余話にて、旧五十嵐家住宅に残された墨書から、その当時の建築技術、建築道具、生活様相が窺える貴重な文化財であることをお伝えしました。同時期の建物や後年の建物があればそれとの比較で工法・大工道具など建築の歴史が明らかになるので、個々の重要性は同時代にいくつかの建物があるとさらに増すことになります。
只見の旧五十嵐家住宅も「享保四年」(1719)の墨書が残る、ほぼ同時期建物です。貞享年間(1685年頃)に会津若松幕の内の佐瀬与次右衛門が著した『会津農書』はそれまでの会津地方の農業に関した書物ですが、「にわか雨など降った時、干した物を急に取り込むのに居間を土座にして、前に庇をかけるといい」「稲を脱穀するのに土間と居間の仕切りはないほうがいい」と書かれています。両建物の平面図【図版(1)・(2)】からも確認できます。
※墨書…墨で書いた書のこと。今回は寺社・民家などの建物の建築記念・記録として高所にとりつけていた棟札のことをさす。
※平面図など詳細は、本紙またはPDF版17ページをご覧ください。
問い合わせ:町史編さん室
【電話】83-3010
※中央公民館2階にて『会津坂下町史』を販売しています。(平日午前8時30分〜午後5時)
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