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町史編さん調査余話(73)

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福島県会津坂下町

■旧五十嵐家住宅(9)
展示の民具について(1)
木摺臼(きするす)

一口に「民具」といっても職業ごと・用途ごとに違いがあり、生活の移り変わりとともにそのほとんどは使われなくなりました。地域や地方によっても違いが見られ、旧五十嵐家住宅に保管されている民具は、会津坂下町の暮らしを知る貴重な文化財ですので、順次紹介していきます。是非、住宅を訪れ、見て感じていただければと思います。
今回は「木摺臼(きするす)」を紹介します。読んで字の如く「木摺臼」は「木製の」「米を摺る臼」のことです。臼には素材により金臼や石臼、土臼、木臼などがあります。石臼や土臼はよく見かけますが、精米には土摺臼や木摺臼が一般的に用いられ、中でも木製の臼は今に残存するものが少なく、大変珍しく貴重なものです。
歴史的には、天和2年(1682)、今から約350年前に作られた『百姓伝記』という本に臼で精米することが記されています。それによると、「昔は臼というものがなくて一粒ずつ爪でむき、また、石の上に米を置いて別の石で摺り米にしていたが、やがて手回しの木製の臼が登場した。寛永元年(1624)ころに中国から土臼が伝来し、木臼で1石摺るのに土臼では3石と3倍の効率が上りましたが、一方で、1升5,6合が粉になり、屑米の割合が多いことから広く普及はしなかった。」と書かれています。こうしたことから、その後も一般には木摺臼が使われ続きましたが、その後の各地に残る記録に、土摺臼も目立ての改良がなされ屑米が少なくなり、幕末には広く土摺臼が使われるようになったと記録されています。
旧五十嵐家住宅に保管されている木摺臼は赤松製で、主に米挽きに用いますが、木製だけに目立ては簡単ですが磨耗しやすく長期使用にはむいていません。

問い合わせ:町史編さん室
【電話】83-3010
※中央公民館2階にて『会津坂下町史』を販売しています。(平日午前8時30分〜午後5時)

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