■旧五十嵐家住宅(10)
展示の民具について(2)
臼と杵
旧五十嵐家住宅には、搗(つ)き臼と杵が展示されていますが、こうした道具にも用途と形状などに歴史があります。
古く縄文時代では石皿や摺り石の出土があり、粉にする用途と考えられています。栗や栃の実、ドングリ等の木の実などを粉にして水を加え練り食べたか、練った後パン状にして焼いて食べたかなど、当時の食生活が窺えますが、木製品である臼と杵の出土例はありません。弥生時代に入ると木臼と竪杵が見られ、弥生時代後半の銅鐸には二人が竪杵で臼(くびれ臼)を搗く姿が描かれていることから稲作の出現とともに登場したと考えられ、また、旧五十嵐家住宅にも展示品があることから近年まで使われていたという長い歴史を感じさせます。
搗き臼は胴の部分がくびれた「くびれ臼」と寸胴の「胴臼」の二つの形状に分類されます。臼は何処の家にもあったのではなく近所での貸し借りがあり、くびれは運びやすいように縄を結びつけるためのくびれと考えられています。
杵は細長い棒状の「竪杵」と搗き胴に棒を射し込み振り下ろす「横杵」の二つの形状に大きく分類されます。
「横杵」が両手で打ち下ろす道具で力を必要としますが、「竪杵」は片手か両手で握り突き下ろす道具で、「横杵」に比べて力を必要とせず女性でも作業が出来る道具です。
臼は、今は餅搗き道具のイメージしかありませんが、かつては脱穀・精白・製粉全てに使われた道具です。
問い合わせ:町史編さん室
【電話】83-3010
※中央公民館2階にて『会津坂下町史』を販売しています。
(平日午前8時30分〜午後5時)
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