■旧五十嵐家住宅(12)
展示の民具について(4)
蓑(みの)
数十年前は家の蔵や納屋の壁に蓑が掛けられている風景をよく見かけました。蓑には、「雨蓑」、「荷背負蓑」、雨蓑と背負蓑の両方の特徴を備えた「イカ蓑」などがあり、何に使うかなどの用途で材料や形、大きさなどに違いがあります。
また、物を背負って運ぶ時に物が直接身体に当たらないように背中と荷物の間に藁と布で作った円形や長円形などの背中当てや腰や尻に当てる腰当て・尻当てなどがありました。
・雨蓑…ヒロロ(ミヤマカンスゲ)などで編んだ蓑で、水を弾き、寒さや雨除けで使います。
・荷背負蓑…荷を背負う時に、首から肩に掛けて肩の負担を軽減するもの。肩当て・背中当てで材料や模様など多様で、仕事着の中でもカラフルです。
・イカ蓑…雨蓑と背負蓑を兼ね備えた蓑で、山間部に多く見られます。全体像がイカのような形をしていました。
・背中当て…直接身体に当たらないように背中と荷物の間に使います。
・腰当て・尻当て…泥よけや直接身体が汚れないように腰に結びます。
このような藁製品は、ほとんどの農家でつくられており、当町では海老沢地区が特産地として有名でした。純水田地帯で、藁細工の原料が豊富にあったこともあり、若者が村中の一定の場所に集まり、村の古老から指導を受けて藁製品の作成を行う光景がみられました。
写真:旧五十嵐家住宅に保管されている雨蓑(内側)
問い合わせ:町史編さん室
【電話】83-3010
※中央公民館2階にて『会津坂下町史』を販売しています。
(平日午前8時30分〜午後5時)
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