[敬老特集]生涯現役の輝き(2)

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近年、「人生100年時代」という言葉をよく耳にします。価値観や生き方が多様化する中、年齢を重ね、「高齢者」と呼ばれる世代になっても、精神的にはもちろん、肉体的にもまだまだ元気で仕事を続けたり、地域や家庭で存分に活躍したりしている人が増えています。
今回の特集では、これまでに培った自らの経験や知識を生かし、自分らしく「生涯現役」を実践している皆さんを紹介します。

■好きだから、続けられる
澤上芳和(さわがみよしかず)さん(86歳)(堤町)
シルバー人材センターの会員として週に3、4回ほど庭木剪定(せんてい)の仕事をしている澤上芳和さんは、以前は蚕糸(さんし)会社に勤めていました。「仕事で桑の木を剪定していたし、元々植物が好きだったからやってみようと思った」と話します。入会後は庭木剪定を専門に請け負い、20年以上の経験をもつ澤上さんですが、今でも年に2回の講習を受けるなど、研鑽(けんさん)を欠かしません。この日も庭木の見える角度や開花時期を考えながら、真剣な眼差しで剪定します。
「好きなことだから続けられるし、一緒に仕事をする人も良い人ばかりなので、気持ち良く働くことができる。気持ち良く働くことが、明るく生活することにつながる。それが長生きの秘訣(ひけつ)かな」と教えてくれた澤上さん。「外に出ればいろいろな人に出会える。誰かに『会う』ことがうれしいから、体が動く限りこの仕事を続けたい」と笑顔を見せてくれました。

■仕事は、私にとって癒やしの場
室井満江(むろいみつえ)さん(81歳)(門田町飯寺)
会津敬愛苑で洗濯業務を請け負う室井満江さんは、シルバー人材センターに入会して今年で13年目。以前の職場を退職後も「体を動かすことが好きなので仕事を続けたくて。洗濯は普段からやっているので、自分でもできると思ったんです」と話します。室井さんは「洗濯物が出るのは利用者が元気に過ごしている証拠。自分が洗濯した衣類が次の洗濯に出てくると『着てくれたんだ』とうれしくなります。それがやりがいですね」と目を細めます。また、「自分が元気だからこそ仕事に行くことができる。仕事は私にとって癒しの場です」と話してくれました。
お子さんやお孫さんと暮らす室井さんは、家族に車で職場まで送ってもらうこともあるそうで、「家族の協力が元気の秘訣」と笑顔で教えてくれました。普段から家族の食事や弁当を作るなど、家庭でも精力的な室井さん。この日もテキパキと、そして丁寧に洗濯物を畳んでいました。

■必要としてくれるところで自分にできることを
渡部長二(わたなべちょうじ)さん(77歳)(北会津町蟹川)
高校教師として40年近く教壇に立ち、卓球の指導も行ってきた渡部長二さんは、現在、市内のスポーツクラブ「会津クラブ」で週に2回ほど卓球を教えています。「一人ひとりの技術や個性に合わせて教え方を工夫している」と話す渡部さんの指導は、「基礎をしっかり教えてくれるので上達が実感できる」とクラブの皆さんにも好評です。
「試合や大会の後は、みんな結果を笑顔で報告してくれる。それが一番うれしいですね」と話す渡部さん。教員時代は「子どもたちに負けて悔しい思いをさせたくない」という気持ちで熱心に指導し、多くの教え子を全国大会に送り出してきた渡部さんですが、今はクラブの皆さんと一緒に楽しみながら卓球を続けています。「卓球を『生きがい』というと大げさかな。自分を必要としてくれる場所で、自分にできることをしているだけ」と話してくれた渡部さんは、この日もクラブの皆さんとともに汗を流していました。

■自分のためにできることを
髙橋壯治(たかはしそうじ)さん(79歳)(北会津町水季の里)
■達成感を感じられる
藤崎洋子(ふじさきようこ)さん(82歳)(西七日町)
地域支援ネットワークボランティアで活動する藤崎洋子さんと髙橋壯治さんは、この日、認知症カフェを手伝っていました。退職後にボランティア活動を始めた藤崎さんは「社会へお返しをしたいという思いで始めたことですが、続けるうちに自分自身の成長につながりました。活動の後は達成感を感じています」と笑顔を見せます。
10年ほど前に移住してきた髙橋さんは、以前から福祉に関心があったと話します。「ボランティア活動をすることが地域のためになればと思います。地域が良くなることをみんなでやっていければいいですね」と話してくれました。
「ボランティア活動をしていると『ありがとう』と言われることがあるけれど、私としては『やらせてくれてありがとう』という気持ちです」と話す藤崎さんと、「何事も与えられるのではなく、自分でやることが大切」と話す髙橋さん。お二人とも、地域やまわりの人はもちろん、自分のためにやっているからこそ、続けることができるのだと教えてくれました。

問合せ：高齢福祉課
【電話】39-1291