■国際交流協会ってどんなところ?
・「国際交流」「多文化共生」…なんだか難しそう…
・国際交流に興味はあるけど、語学力に自信がない…
・国際交流協会ってどんな仕事をしているの?
平成8年に設立されてから、国際交流協会は外国出身者と会津地域との架け橋としてさまざまな活動を行ってきました。ここでは、その最前線で活躍する同協会の皆さんにお話を伺います。
・国際交流員 エリカ・チャイニーさん
・事務局長 小林真司(しんじ)さん
・国際交流員 劉娟(りゅうけん)さん
▽国際交流協会の仕事は「人と人をつなぐ」こと
――国際交流協会のお仕事について教えてください。
小林さん:
国際交流事業や本市の在住外国人支援、ボランティアの育成など、多岐にわたりますが、一言でいえば人と人をつなぐ「地域のコーディネーター」です。
外国出身者の生活の困りごとから、国際交流に関するきっかけづくりの場でもありますし、国際交流で困ったらここに来てもらえればと思います。
外国出身者と接する中で、私自身、会津のことを知っていたつもりで全然そうではないと気付かされたり、普段の会津の風景が少し違って見えたりと、学ぶことが多いです。
チャイニーさん:
主にイベントの企画・運営を担当しています。でも、実際は国際交流に関することは何でもやっていて、やりたいことが多すぎて困っていますね(笑)。イベント関連ではボードゲーム大会やムービーナイトなど、誰でも一緒に楽しめて、同時に異文化にふれられるような企画をしています。大変なこともありますが、参加してくれた皆さんが喜んでくれたり、また次回も参加しようと思ってもらえたりするのがうれしいですし、やりがいですね。
劉さん:
日本語教室や中国語がメインのイベント、中国語版の広報紙作成などを担当しています。
運転免許証の取得や税関係の手続きなど、制度に関する生活相談を受けることも多く、各行政機関につないだり、通訳として同行したりとサポートしています。
もちろんやりがいもありますが、うれしい驚きもあります。中国出身者と中国語を学ぶ日本人の交流の場として中国語サークルを企画したところ、中国語を学びたいという日本人以外の皆さんもたくさん参加してくれたんです。興味をもってくれた人がたくさんいたんだなとうれしくなりましたし、思いがけないニーズがあるのだと勉強にもなりました。
▽国際交流は「ひとりでもできる」!?
――「国際交流」と聞いて、ハードルが高いと感じてしまうこともありますよね。
小林さん:
外国出身の人と交流したり、留学したり、外国語を使わないと国際交流といえない…と考えてしまったりしますよね。国際交流は、「自分の世界を広げる」ことだと思います。例えば日本語で外国のニュースを見たり、興味のある国についての本を読んだり、映画を見たり。外国語を話して交流することだけでなく、日常の中でも何気なくやっていることが国際交流のひとつの形だと思います。
また、人が2人集まれば、それがすでに多文化共生だと思います。生まれ育った文化は違っても、個人個人では共通する部分もあれば、全く重ならないところもある。出身国などから決めつけず、今、目の前にいる相手から直接、その人となりを学び、尊重することが大事です。
チャイニーさん:
日本に住んでいる外国出身者は、ある程度日本語を理解する人が多いですから「相手の母語で会話しなきゃ」と焦る必要はないと思います。むしろ、日本語学習者にも理解しやすい「やさしい日本語」を使ってコミュニケーションすることをおすすめしたいです。
劉さん:
「国際」…と聞いた時点で、難しそうだと思ってしまう人もいるかもしれませんね。でも、とにかく勇気を出して、一歩踏み出すことです。身のまわりで交流するのが難しいなと思ったら、ぜひ協会に来てください。みんなで一緒に話しませんか。
▽「見知らぬ隣人」から顔の見えるお隣さんへ
――近所に住む外国出身の人に対して、どのように接すればいいか分からないという人もいるかもしれません。
小林さん:
人間は「知らない」ことに対して不安を抱くものです。まずは、あいさつから始めてみませんか。笑顔であいさつすることで声を掛ける側も安心しますし、相手も「地域に受け入れられている」と感じます。そういうちょっとしたことで、顔の見えるお隣さんとしてご近所付き合いができるのではないかなと思います。
劉さん:
私は会津に来て、あいさつの習慣が根付いていることに驚きましたし、とても良い文化だと思います。声をかけてもらえると、心があたたかくなりますね。
▽協会の外でもコミュニティを育てたい
チャイニーさん:
協会ではいろいろな相談や依頼を受け付けていますが、協会を通じて人と人が知り合い、その人たちがさらにネットワークを広げていくことも期待しています。会津には魅力的で個性豊かな皆さんがたくさんいらっしゃるので、地域の中での国際交流のコミュニティが育っていけばみんなでもっといろいろなことができるようになると思いますよ。
小林さん:
協会はきっかけづくりの場ですから、そこで生まれたつながりがどんどん広まっていくといいですよね。私は今年度で退任となりますが、その後も、地域の一員として国際交流のコミュニティを育てていきたいです。
■コラム
▽「やさしい日本語」…って?
「やさしい日本語」とは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮した分かりやすい日本語のことです。外国出身者をはじめ、多くの人に分かりやすく伝えることができるため、共生社会の実現に役立つ日本語として注目されています。
例:こちらの欄にご記入ください→ここに書(か)いてください
▽やさしい日本語のポイント
・あいまいな表現を避ける
「こちら」→「ここ」
・分かりやすい言葉を使う
「記入」→「書く」
・漢字にふりがなや読み方をつける
「書く」→「書(か)く」または「書(か)く」など
やさしい日本語は「日本語で分かりやすく伝える」ことの練習にもなりますよ!
参考文献:出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
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