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[特集]人とつながる世界が広がる 国際交流・多文化共生(4)

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福島県会津若松市

■全く違う価値観にふれて、好きだと思うコミュニティが増えていく感覚がおもしろい
国際交流協会会員 室田彩夏(むろたあやか)さん

――国際交流協会では国際交流フェスティバルや日本語サークルなどの企画をされているそうですね。
友達に誘われて国際交流協会の語学イベントに参加したことがきっかけで、今は運営側でも活動や企画を行っています。国際交流フェスティバルでは、協会の皆さんに後押しされて実行委員長を務めました。私自身、会津出身でもないし経験も浅い自分でいいのかな、という迷いはありましたが、楽しそうだなと思って。
日本語サークル「あつはな」は気軽に日本語の練習・交流の場があればいいなと思っての企画です。

――国籍や文化圏、母語が異なる人と接する際に心掛けていることはありますか。
相手に伝わる話し方と、相手を尊重することです。話すときには、はっきり発音する。分かりやすい言葉を使う。表情豊かに、身ぶりや手ぶりも加えて伝える。相手の表情を見ながら、伝わっているか確認する。また、文化によっては失礼になる作法や言葉などもあることに気を付けて接するようにしています。
国際交流を通していろいろな国や人を知ると、逆に日本文化や自分自身についてたくさんの気づきがあったり、新しい見方ができるようになったりするのが新鮮だしおもしろいですね。だから自分自身や地元について知ることも国際交流・多文化共生につながるのかなと思います。
日本とは全く違う文化や自分と正反対の価値観の人に出会ったり、予想しなかったようなコミュニティに入っていったりすることができますし、新しい世界にふれて、それが好きになる。好きだと思えるコミュニティが増えていく。それが国際交流のおもしろさだと思います。

■「会津を楽しんでほしい」の気持ちが原動力
国際交流協会会員 関澤一幸(せきざわかずゆき)さん

――関澤さんが主催されている「ファームビジット」とはどのような取り組みなのでしょうか。
会津大学の留学生や外国出身者を中心に、一緒に畑での農業体験を行っています。
今年はどの文化圏出身の人でも楽しめるサツマイモ、じゃがいもなどを、去年は「会津農書(※)」にちなんで会津の伝統野菜なども植えました。
※会津農書…1684(貞享元)年の農業書。著者は会津藩の村役人であった佐瀬与次右衛門(よじえもん)

――取り組みを始めたきっかけを教えてください。
会津大学があるので市内には留学生がたくさん住んでいるのですが、会津のことをあまり体験せずに帰国してしまう学生が多いのではないかと思ったからです。せっかく会津に来てくれたのに、会津を楽しまないのはもったいない。
また、私自身が「会津農書」ゆかりの土地に住んでいることに縁を感じて、農業でも国際交流ができないかと考えました。みんなで集まって、収穫しておいしいものを食べるのは誰でも楽しめることですしね。今後も世代を越えてこの取り組みを続けていけたらいいなと思っています。
やはり、会津に来てくれた人たちに地元を楽しんでほしいという気持ちが強いのだと思います。ファームビジットのほかにも、ホストファミリーとして留学生などを受け入れたり、スキーや登山などで外国出身の人と一緒に活動したりしていますが、会津の良さや楽しさを伝えて、そして相手が会津を楽しんでくれたらとてもうれしいですね。さまざまな国の人と、こうして会津で出会うことができたのは、まさに一期一会ですから。

■国籍に関わらず、みんなが集まれる場所をつくりたい
タイレストランandカフェ バンコクコーナー(栄町) 竹中ピンウィモンさん、一将(かずまさ)さん

――「バンコクコーナー」を立ち上げたきっかけを教えてください。
ピンウィモンさん:結婚を機に、2017年にバンコクから会津若松に引っ越しましたが、市内にはタイ料理を手軽に食べられる場所が少ないと感じていました。大好きな故郷の料理を、会津若松の皆さんにも味わって欲しかったんです。また、国籍に関わらず、みんなが気軽に集まれる場所をつくりたい。それが地元に人を呼び込むことにもつながるのではないかと思って、このお店を立ち上げました。
一将さん:妻の思いを応援したいと思い、立ち上げに協力しました。主に、言語や事務的な面からお店をサポートしています。

――スタッフの皆さんはタイやフィリピン、コンゴなど多国籍ですね。多国籍の職場ならではの難しさや、心掛けていることはありますか。
ピンウィモンさん:相手の立場になって考えることを心掛けています。また、故郷の国の家族を経済的に支援しているスタッフも多いですから、家族のために頑張るスタッフをお店としても応援したいと思っています。
一将さん:個人的には言語の違いに一番難しさを感じるので、スタッフにきちんと自分の意図が伝わっているか、何度も確認するようにしています。時間が掛かるときもありますが、しっかりコミュニケーションをとることを大切にしています。
スタッフも日本語のレベル感はさまざまですし、私たちも飲食業に挑戦するのは初めての経験なので、みんなで一緒に成長していきたいですね。

■国籍や出身からではなく、目の前の相手がどんな人かを学ぶことが大切
外国語指導助手 ヒテーシュ・クマール・トゥールさん

――外国語指導助手として、市内の小中学校で英語の指導をされているとのことですね。
若松二中、鶴城小、東山小の英語指導を担当しています。みんな元気で良い学生たちですよ。
英語の授業では、できるだけ会話と交流の機会をつくるようにしています。日本ではかなり長い期間、英語を習いますが、実際の英語力には結びつきにくいのかなと感じているからです。教科書の例のように、うまく会話が進むことばかりではないですから、いろいろな場面に対応できるように実践的な会話を練習することが必要だと思います。

――多文化のなかで育ち、英語、ヒンディー語、日本語を話すトゥールさんですが、多文化交流の際に意識していることはありますか。
相手に勝手な期待や思い込みを抱かないことです。私自身はロンドンでインド系の家庭に生まれ、ガーナで育ちましたが、ガーナ出身と言うと「ガーナといえばチョコレートだよね」と言われることがよくあります。日本出身の人も外国で「日本といえば東京スカイツリーだよね」と言われ続けたら、確かに有名だけど「でもそれだけじゃないよ」と少し残念に思うかもしれませんよね。だから、相手の国籍や出身から「こういう人だろう」と考えず、今、目の前にいる人に集中して、相手がどんな人で、どんな国で育ったのかを直接その人から聞くことです。
また、会津の皆さんには自分が好きなことをどんどん表現してほしいなと思っています。同じ情熱をもつ仲間と出会い、それが地元を盛り上げるきっかけになって大きな活動につながっていくかもしれない。それも人生の楽しさだと思います。

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