■受動喫煙は危険です
市保健師 中林智子
毎年2月は生活習慣病予防月間です。国では、この期間に合わせて「無煙・禁煙」を進めています。たばこの煙は7000種類の化学物質と250種類の有害物質を含み、そのうち70種類以上に発がん性が確認されています。
ほかの人が喫煙して発生したたばこの煙にさらされることを、受動喫煙といいます。電子たばこなどの新型たばこは、紙巻きたばこと比較して有害成分が削減されていますが、吸っている人の口から煙は出ているので、受動喫煙の危険はあります。
受動喫煙には二次喫煙と三次喫煙があります。二次喫煙は、火の付いたたばこから出る副流煙と、喫煙者が吐き出す呼出煙(こしゅつえん)によるもので、副流煙と呼出煙は、喫煙者が吸い込む主流煙より数倍多くの有害物質を含みます。三次喫煙は、室内の壁や家具、カーテン、カーペット、着衣の表面に付着した毒性物質を体内に取り込んでしまう残留煙害です。三次喫煙では、ニコチンなど猛毒物質の影響は二次喫煙の数十倍にもなります。
受動喫煙の被害を受けやすいのは、生活環境を自分で選べない子どもや乳幼児です。受動喫煙は、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患など、さまざまな健康被害を及ぼす可能性が指摘されています。乳幼児はハイハイをする時、床やカーペットに直接触れることが多く、三次喫煙の被害を受けやすくなります。直接、煙を吸わなくても、受動喫煙のリスクは消えません。たばこの煙は半径7mに達し、空気清浄機で煙や臭いを軽減することはできても、有害物質を除去することはできません。また国内では、受動喫煙で年間1万5千人が亡くなっています。*
煙の害を防ぐには、禁煙が一番です。禁煙は自分や周囲の人の健康につながります。大切な家族を煙の害から守るため、禁煙してみませんか。
*:厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業「たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究」平成27年度報告書より
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