会津図書館では貴重な所蔵資料をデジタル化して公開しています。ここでは、その中から懐かしい風景などを紹介します。
■今回、紹介するのは「田中稲荷神社」
市内中心部にあり、会津の初市「十日市」の神様として、また、夏の風物詩「ほおずき市」が行われる神社として親しまれる田中稲荷神社が建立されたのは、1042(長久3)年といわれています。慶長年間(1596年から1614年)ごろまで境内に欅(けやき)の大木があり、毎年、この木の下で人々が稲の売買をしたことから稲座(いなくら)明神と、また、社が田んぼの中にあったことから、田中稲荷と呼ばれるようになりました。
たびたびの火災で社殿は消失しましたが、1899(明治32)年に火災に強い土蔵造りに建て替えられた全国的にも珍しい神社です。1910(明治43)年に初めて新暦で十日市が行われた際、米の値段や作柄を占う俵引きを人形で再現し、電飾を付けて大町四ツ角に設置しました。当時の新聞には「誠に其景不夜城の観あり(略)市神も鎮座ましまし参詣人引きも切らず」とあり、大いににぎわった様子がうかがえます。その後、人形は由来書とともに田中稲荷神社に奉納されました。
ちなみに、十日市の開催時期は時代とともに変遷し、新暦のみの開催となったのは1961(昭和36)年のことでした。
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