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おしえて博物館-五十一-

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福島県南相馬市

『イチョウの乳信仰(ちちしんこう)』

今の季節、イチョウが黄色に染まってきれいですね。
市内には小高区の「同慶寺(どうけいじ)のいちょう」、鹿島区の「阿弥陀寺(あみだじ)の大いちょう」というイチョウの大木があります。どちらも市指定天然記念物で地域のシンボルとして大切にされています。
イチョウの大木には乳(ちち)のように垂れ下がったものが見られます。
昔はその乳を赤ちゃんの母親の乳に見立て、乳の出が良くなるようにイチョウの木に祈る民間信仰がありました。
そのような信仰は、現代ではわずかに地域の古老が知っているだけになってしまったり、古い伝承をまとめた本に記されているのみであったりということがよくあります。
しかし、幸いにも前述の市内の二つのイチョウには次のような伝承が残っています。
「同慶寺のいちょう」は「乳の神様」「丘の灯台」と記した記録があり、先代住職夫人も「昔は乳の出を祈願する女性がお参りに来ていた」と語っています。「丘の灯台」については、海上の船から見えたかどうか定かではありませんが、丘陵の縁辺にあって黄葉する時期は特に目を引くので、道行く人の目印になったのでしょう。
鹿島区の「阿弥陀寺の大いちょう」は、乳の出を祈願する女性がその実を食べると乳の出が良くなるといわれ、このイチョウの後ろ(現在は阿弥陀堂内)に子育て観音が祀(まつ)られていました。
相馬地方ではほかに新地町の「白幡(しらはた)のいちょう」の乳信仰が知られています。
イチョウの乳の民間信仰は昔の人の素朴なイメージから生まれたものですが、現代でも母親が赤ちゃんの健康と無事成長を願う気持ちには変わりません。黄葉したイチョウを見かけたら、赤ちゃんを思う母親の心の拠(よ)りどころとなった乳を探してみてください。

問合せ:市博物館
【電話】23-6421

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