『春の植物をさがそう(2)』
植物の中には、春の短い期間のうちに、開花だけでなく結実・光合成を済ませ、夏ごろには地表から姿を消して翌年の春まで休眠するという変わった性質のものがあります。英語でスプリング・エフェメラル(直訳すると「春の儚(はかな)いもの」)、日本語では「春の妖精」と呼ばれます。その中で、市内に出現するものを少しだけご紹介しましょう。
■カタクリ
「春の妖精」の代表格で、落ち葉の上に模様の入った葉を広げ、その上にピンクから紫色の可憐(かれん)で美しい花を咲かせます。花の寿命は数日と短く、見頃を捉えるのが難しい、まさに「妖精」の名にふさわしい植物です。山地の明るい雑木林で多く見られますが、原町区牛越の丘陵地など、やや市街地寄りのところでも見つかります。
■キクザキイチゲ
カタクリと同じような場所で見られる植物です。園芸植物で有名な「アネモネ」の仲間で、根が横に這(は)って広がるため、しばしば群落になります。花の中心は暖かいのか、小さな虫が動き回っているのをよく見かけます。
■昆虫でも「春の妖精」
昆虫にも同じ呼び名をもつものがあります。そのひとつが「アブ」の仲間の「ビロードツリアブ」。アブといっても花の蜜を吸って生活する無害な昆虫で、しかも、全身がモフモフの毛で覆われた愛らしい姿をしています。博物館のある東ヶ丘公園の周りでも普通に見られます。
もうひとつがチョウの仲間の「ウスバアゲハ」。翅(はね)の表面に鱗粉(りんぷん)が少なく、向こう側が透けて見えるという変わったチョウです。実は私はこのチョウを野外で見たことがなく、憧れの存在です。
外は春爛漫(らんまん)の季節。みなさんも「春の妖精」を探しに野山を歩いてみませんか。
今回ご紹介した生き物の写真は博物館ホームページでも公開中です。博物館のミニテーマコーナーでは春の植物を展示中ですので、ぜひそちらもご覧ください。
問合せ:市博物館
【電話】23-6421
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