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おしえて博物館-四十八-

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福島県南相馬市

『標本を100年先まで残したい』

NHK連続テレビ小説「らんまん」の放送が続いています。主人公のモデルである100年前の植物学者・牧野富太郎が残した標本は、現在も各地の大学や博物館によって受け継がれています。それらの標本は牧野が見た自然を現代の私たちに伝えるのに役立っています。
さて、当館もまた生き物の標本を収集・保存する施設のひとつです。そんな当館に、ある問い合わせが寄せられたことがあります。それは、「市博物館にある、もっとも古い昆虫標本は何か」という小学生からの質問でした。
当館は平成7(1995)年開館のため、生物標本の古いものはその前後に集められたものがほとんどです。収蔵庫の標本を調べたところ、相馬地方では平成6(1994)年5月4日に原町市(原町区)で採集されたガロアムシが、もっとも古い昆虫標本だと分かり、回答しました。
見つかった標本はそれほど古いものではありませんでしたが、少なくとも、質問してくれた子にとっては生まれるよりも前の標本です。
―自身が見たことのない過去の自然について思いを巡らすこと―それが、現在や将来の自然に対する見方を変えるような学びにつながってほしいと思う出来事でした。
今年3月に市が策定した南相馬市第三次総合計画では、「100年のまちづくり」をキーワードに、豊かな自然と人馬とが共生した文化が、本市の魅力であり、地域資源であると明記しています。自然と人びととの関係は、時代を経るごとに変わる面もあれば変わらない面もあります。その中で、遠い将来のありようを現代の私たちが考えるためには、過去の自然の姿を正確に伝え、身近に感じさせてくれる標本資料が必ず役に立つはずです。100年後のこの地に住まう人びとに豊かな自然とより良い調和を受け継ぐため、時代を越えて自然を見通すための資料を守っていきたいと思います。

問合せ:市博物館
【電話】23-6421

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