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おしえて博物館-四十九-

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福島県南相馬市

『おらが町のガニマキ』

本市をはじめ相双地域には「ガニマキ」というモクズガニで作られる郷土料理があります。モクズガニは高級食材シャンハイガニの仲間で、そのおいしさには定評があります。日本各地の川に生息しており、秋から冬に川を下り、春に河口近くや沿岸部で産卵します。そのため、移動中のモクズガニがたくさんとれる春と秋がガニマキ作りの季節です。
作り方はとてもダイナミックです。生きたモクズガニを甲羅(こうら)ごとつぶし、途中で味噌(みそ)を加え、ザルでこします。こし汁に水を加えて火にかけると、カニの成分がフワフワと卵とじのように固まって浮いてきます。さらに残りのこし汁をすくい入れ、大きなフワフワの固まりを作っていきます。仕上げの味付けは味噌と醤油(しょうゆ)。お好みで豆腐やネギ、ミツバなどを加え、完成です。
ガニマキは、こし汁の濃度や量の違いなどによって、相双地域のなかでも地区により完成形に違いがあるのが特徴です。しかし、その違いこそが郷土料理の奥深さでもあるのではないでしょうか。
実は、相双地域に限らず、モクズガニのとれる日本各地にガニマキに似た郷土料理、いわば「おらが町のガニマキ」が存在します。青森県の「川蟹(かわがに)すいとん」をはじめ、岩手県の「カニのふわふわ」、山形県では「カニタタキ」。東北以外でも千葉県「カニコ汁」、静岡県「ズガニ汁」、高知県「ツガニ汁」、大分県「ガン汁」、宮崎県「かに巻き汁」など。多少の違いはあるにせよ、どれもよく似ているのです。こんなにも各地にガニマキに似た料理が存在するということは、もしかしたらこの調理法がモクズガニ料理の究極のかたちなのかもしれませんね。

問合せ:市博物館
【電話】23-6421

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