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自治体の皆さまへ

町民の皆さまへ 町長施政方針(2)

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福島県双葉町

■農業の再生について
中野地区復興産業拠点における企業誘致や、住む拠点としての駅西住宅、駅東エリアの商業施設など、資材調達の関係で遅れているものの計画に沿って順調に整備が進んでいる一方、避難が長引いたことにより、農業者の営農意欲の喪失と高齢化が進み、地域農業の担い手や労働力の確保が困難な状況であり、農業者個人での営農再開はハードルが高く、町の復興に係る分野で農業の再生が厳しい状況にあります。双葉町に限らず被災町村でも復興に関して最も難航が予想されるのは、一次産業である農業の再生であると言われています。
しかし私は、地域での生産組織の設立や農業法人による新規参入の受け入れなどによる担い手の確保、そしてそれらへの農地の集積・集約のテコとなる土地改良事業の取り組みや、「スマート農業」と言われる省力化技術の活用、収益性の高い作物の導入により町の農業の再生は実現できるものと考えております。
そのためにはまず、地域の地権者同士で話し合いをして、地域の農業をどのようにしていくのか、担い手を誰にしていくのか、これらの議論を深めて欲しいと考えており、町としても営農再開に向けた支援は惜しまない考えでおります。
双葉町で生産された農産物の摂取制限と出荷制限が解除されることにより、食の安全・安心が確保され、町民の皆さんが安心して帰還できる環境に繋がるものと期待しているところです。

■高速道路の無料化措置と医療費等の減免措置について
高速道路の無料化措置については、双葉町の場合、避難指示が解除されたのは、町全体の約15%に過ぎず、「特定帰還居住区域」の除染もこれからであり、また、町民のほとんどが全国各地に避難している状況に鑑み、町民の生活再建やふるさとへの帰還に必要不可欠であることから、引き続き無料化措置の継続を国並びに関係機関に強く要望してまいります。
次に、現在は、医療・介護にかかる保険料が減免され、窓口での一部負担金が免除されていますが、国は避難指示解除から10年を目途に免除措置を終了する方針を示しております。しかし、本町は、帰還困難区域と避難指示解除区域が混在することから、町民の公平性を保つため、激変緩和措置を講ずるよう国に強く働きかけてまいります。

■国の関係機関に対する復興等に向けた要望活動について
昨年8月に大熊町、双葉町の両町長、町議会議長とともに復興庁、経済産業省、環境省に
・特定復興再生拠点区域外における取組の具体化について
・復興のスタートに立つ両町への重点的サポートについて
・福島第一原子力発電所の廃炉を担う東京電力への監督・指導について
・ALPS処理水をめぐる責任を持った対応について
要望活動を行いました。双葉町、大熊町は、過酷な事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の立地自治体であり、30年から40年かかるといわれる廃炉作業や苦渋の決断による中間貯蔵施設の受け入れ、ALPS処理水の海洋放出に伴う風評被害の懸念など、他の自治体とは復興のステージが大きく異なっていることから、第二期復興創生期間にとらわれることなく、完全な復興を成し遂げるまでの支援を強く要望してまいりました。

■復旧・復興に欠かすことのできない財源の確保について
一昨年の12月に「税制大綱」が決定され、「東日本大震災からの復旧・復興に要する財源については、引き続き、責任を持って確保する」と明記されましたが、双葉町は、震災と原発事故という複合災害により、インフラの整備、町民の生活再建、産業・生業(なりわい)の再生など様々な課題に直面しており、課題解決のためには長期にわたり財源の確保が不可欠であります。今後も福島県並びに関係自治体との連携により、大綱を踏まえ復興・再生に向けた財源確保について、国並びに関係機関に強く要望してまいります。

■東京電力ホールディングス株式会社に対する要求について
本年、1月4日に東京電力ホールディングス株式会社の小早川社長が来庁した際に、「福島第一原子力発電所の廃炉、原子力損害賠償の完全実施及び復旧・復興への協力に関する要求書」を手渡すとともに、要求事項の実施について強く求めました。
原子力損害賠償については、令和4年12月に国の原子力損害賠償紛争審査会の指針が見直され、9年ぶりに中間指針の「第五次追補」が決定されました。双葉町は、東京電力に対し、被害の実情にあった賠償を継続して求めてきたところであり、今回の「追補」は、一定程度反映されたものと考えております。今後も風評被害等損害がある限り賠償を行うべきであり、県並びに関係市町村と連携を図りながら国、東京電力に働きかけてまいります。また、東京電力には「指針」が示す損害額が、上限ではないことを認識するとともに、常に被害者の目線に立ち、被害者に対して誠意を持って対応するよう求めてまいります。さらに、謝罪や賠償によって事故の責任は無くなるわけではなく、双葉町の復旧・復興に向けた取り組みについての協力を強く要求したところです。

■双葉町復興まちづくり計画(第三次)について
双葉町復興まちづくりの基本理念は「町民一人一人の復興」と「町の復興」を目指して、また、基本目標は「ふるさとへの帰還を果たし、魅力ある町の再興」として「町民一人一人の生活の再建の実現」と「町民のきずなの維持・発展、ふるさとヘの思いを繋ぐ」を掲げています。
双葉町復興まちづくり計画(第三次)は、これまでの復興まちづくり計画で掲げた方針を踏襲しながら、特定復興再生拠点区域が避難指示解除された以降の具体的な取り組みや施策、事業を示した令和4年度から令和8年度までの計画であります。これに基づき、町として総力をあげて町民や地元業者の町内への帰還を促進するとともに、双葉町に関心を持っていただいている方や事業者の方々の移住、参入を積極的に支援してまいります。
令和6年度は、復興まちづくり計画(第三次)の折り返し地点に当たることから、各種事業の実施状況の進捗を検証するとともに、避難指示解除後5年以内に行う基本施策として
I 生活環境
II 産業・エネルギー
III 医療・健康・福祉・介護
IV 教育・子育て・歴史・伝統・文化
V きずな・結びつき
の5つの分野について集中的に実施してまいります。
町の復興の基本となるのはやはり居住人口の増加であります。特に町民や地元業者の町内への帰還の促進や双葉町に関心を持っていただいている方々の移住や、事業者の方々の参入を積極的に支援し、居住人口の増加に繋がる施策をより一層積極的に進めてまいります。

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