戦争体験者の高齢化が進み、当時の様子を聞ける機会は年々減少し、戦争を知らない世代が増えています。今回は、資料をとおして双葉町と戦争について少し見てみましょう。
写真は「出征旗」と呼ばれる資料で、出征兵士を送り出す際に知人が寄せ書きしたものです。
写真の出征旗は、日本がアジアや太平洋の島々で戦闘を繰り広げていた当時、旧長塚村から出征した故須賀惣八さんに贈られたものです。須賀さんは、双葉中学校(現双葉高)在学中に陸軍少年飛行兵に志願しました。陸軍少年飛行兵とは、志願して軍の学校で戦闘機の操縦などを学ぶ十代の若者を指します。写真の出征旗の左下には双中同級生一同と書かれており、須賀さんの友人達によって作成されたことがわかります。内容を見ると、「双葉魂」や「俺の分も頼むぞ」という文言が確認でき、送り出す側の気持ちがよく表れています。須賀さんが実際に戦場に赴いたかは定かでありませんが、家族には戦争体験を一切語らなかったそうです。そこには、自身が体験した戦争の苦しさが込められていたのかもしれません。
旧長塚村・旧新山町(現双葉町)からも多くの人々が兵士として出征しており、出征旗を贈る光景は各所で見られたと考えられます。須賀さんのように、出征兵士一人に対し多くの人々が無事や戦果を願って送り出していたことを私たちは忘れてはなりません。
戦争についての体験談、資料をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。
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