■長谷川雄一〈タルホの夜〉1997年 50×35センチ、楮紙・油彩、木版
長谷川雄一(1945~)は会津若松市出身の木版画家です。20歳の頃に版画家・斎藤清(1907~1997)の作品に出会ったことをきっかけに私淑し、木版画の制作を始めます。月や天候、河川など、五感で感じる自然のイメージを深みのある色彩で表現するのが特徴です。
本作は背景に大きな銀色の満月が浮かぶ木立を表現しています。オレンジ色の小さな球体は、柿の実のように見ることができるでしょう。本作をはじめ、長谷川の作品は多色刷りという技法を用いて制作されています。版木に油絵具をローラーで塗って刷り、必要な部分を彫る作業を途中で樹脂やボンドなどで版面を盛り上げながら30回ほど繰り返すことで、重厚な画面を作り出しています。
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