喜多方市地域・家庭医療センター「ほっと☆きらり」
医師 武田仁
■食べすぎる本能と付き合うこと
みなさんこんにちは、今回は食欲の話です。冬は体重が増えやすい時期です。雪や寒さのせいで運動量が減っても同じ量の食事を食べていれば体重が増えるのは当然で、屋内にいれば間食も増え、体重の増加に拍車がかかります。成人の体重増加はほとんどが内臓脂肪の増加であり、内臓脂肪の増加はメタボリック症候群により生活習慣病を悪化させ、全身の動脈硬化や内臓の老化を早めてしまいます。
なぜ私たちは必要以上に食べてしまうのでしょうか?それはどんな動物にも、余分な食べ物があれば、日々の必要量を超えて食べようとする本能が備わっているからです。野生動物の多くは、余った餌があれば満腹になっても食べ続けることが知られています。野生の世界では餌を得られる機会は限られており、少ない餌をめぐってし烈な生存競争が繰り広げられています。生き続けるために餌を食べ続けることは、生物にとって最優先事項の一つなのです。
2018年の民間の調査では、肥満度ワースト1位が岩手県、2位が福島県、3位が山形県といずれも東北の雪深い県であり、冬の運動不足や過食が肥満の大きな要因になっているようです。野生動物が肥満にならずに済んでいるのは、食べ物が簡単には手に入らない環境に住んでいるからです。この飽食の時代に肥満を避けるためには、人間も野生動物に学んで、周囲に食べ物をふんだんに置かず、食べ物をすぐに手に取れないような工夫をする必要があるかもしれません。
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