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国見の民話かるた

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福島県国見町

■第七回 公園の杉の木の話
観月沼 主はくし抱く 白大蛇

その昔、まだ藤田村だったころ、今の観月台公園の池はへりが草に囲まれた小さな沼でした。ある日、藤田村から隣の村に嫁に行くことになった娘が、父親に送られて沼のほとりまでやって来ました。
ちょうどその時、忘れ物をしてきたことに気づいた父親は、「すぐ戻って来るから、ここで待っていなさい」と娘を残して、家に戻って行きました。
そして、忘れ物を持って帰ってくると、そこにいるはずの娘の姿が見当たりません。父親は一生懸命に探しました。
すると、沼のへりに娘の履いていた草履が、きちんと並べて脱いであるのを見つけました。父親はびっくりして、娘が沼に落ちたに違いないと思い、村の人に集まってもらって沼の中を探しました。
だんだんと水をかいて進んでいくと、娘の姿はありませんでしたが、真っ白い大きな蛇が、娘が身に着けていた『くし』を抱いて、沼の底にいたそうです。
人々は、この蛇は沼の主で、娘は主に召されたのだろうと口々に言いました。
主を粗末には扱えないと、沼の東の方にある小高い丘に、頭を東に向けて葬ったそうです。
そして、頭と尾のところに、二本の杉の木を植えました。
それが今、公園にある弁天様が祭られている、丘の上の大きな杉の木だそうです。

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