■第十九回 照内(てるうち)先生
照内の 佐久間左近之助は 剱の名人
昔、森山に照内のおだいじんと言われた大百姓の旦那様に佐久間右近之助という剱の名人がいました。この辺きっての達人で、強いと評判を聞きつけた腕に覚えのある人たちが遠くから次々と来ては勝負しましたが、負けたことはなかったそうです。なにせ力も強いし、身も軽い。六曲屏風の上にチョンと乗ったとか、重い石を箸でつまんだとか。
勝負はいつも池の上(堤防)で戦っていて、勝敗をつけるために、履いている草履が池について濡れた人が負け、濡れなかった人が勝ちとしました。照内先生は、相手をゴザ、バサッと投げて、履いていた草履は少しも濡れなかったそうです。
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