■公立藤田総合病院院長 近藤祐一郎先生
秋が深まりましたが、気温が高い日がときどきあります。気象庁によれば、今年の冬は昨年よりも寒いとの予想です。寒くなると呼吸器感染症が流行します。特にインフルエンザ、コロナウイルスは皆さんご存じですね。今年は4年に1回オリンピックの年に流行ると言われていたマイコプラズマ肺炎が大流行しています。
マイコプラズマ肺炎は、細菌感染症の一種で、1年中みられ、特に秋と冬に増加し、発熱、だるさ、頭痛、長く続く咳が症状です。5~25歳に多く、飛沫・接触感染で広がります。潜伏期間が2~3週間と長く、「歩く肺炎」と言われ、感染が拡大することで知られています。
一般に小児では軽症が多く、一部の人は肺炎となり、重症例は成人、高齢者にみられます。5~10%で、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症があります。診断は、コロナの検査と同じ方法の咽頭ぬぐい液による抗原検査が可能ですが、感度は低く、陰性でも感染を否定できない点に注意が必要です。
学校保健安全法では、「急性期は出席停止、全身状態がよければ登校可能」で、発熱や激しい咳の症状がある間は、休む必要があります。予防法は、流水と石鹸による手洗い、タオルの共用は避け、咳エチケットを守りましょう。何回も感染することがあり、ワクチンがありませんが、抗生物質(マクロライド系)が有効です。特にお子さんや若い方で、咳が長引く症状があるときには医療機関を受診してください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>