町長コラム 真(ま)こらむ第32回

30／31

■余裕の暇
庭の紅梅が咲いてた。満開。見てたはずなのに、見えてなかった。気付かなかった自分に「おいおい、余裕、持てよ」と。
東日本大震災、2度の地震のときも、木々は芽吹き、花咲き、実をつけた。ヒト以外の生き物の動じない様子に感心したことを思い出す。
そんなことを思っていたら、びっくり。昨日、応接室にお内裏様がお越しになった。佐藤和子さんの手作り。すっきりとデフォルメ(簡素化)されてるけど、模様和紙で丁寧に作られてる。これが何とも素敵で愛らしい。殺風景な応接室にホンワリとした雰囲気を醸し出してる。うれしいサプライズ。
そういえば、あつかし歴史館でもひなまつりが催されるし、町内の菓子店には「うぐいすもち」の看板も掲げられてる。少したつとこれが「さくらもち」に変わる…。これも季節を感じさせる私たちの暮らしの一コマ。折々の暮らしの中にある季節の移ろいに気付くと、張り詰めている心が少し和らぐような気がする。
目の前にあるコトやモノを見てはいるけど、見えていないのは、私たちが暮らす国見町の宝ものを見失ってしまうことなのかもしれない。満開の紅梅にも気付かないほど忙しない日々の中でも、余裕の暇(いとま)を持ちたいと思う。そのことを改めて気付かせてくれたお内裏様だった気がする。
引地真