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鳥獣被害対策アドバイザーに聞く 鳥獣被害の「今」と「未来」

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福島県国見町

令和5年度から国見町鳥獣被害対策アドバイザーを務めている、かさなりデザイン合同会社鈴木淳さん。1年間の活動で見えてきた現状と課題について伺いました。

■暮らす人びとが守りたい未来を一緒に描く―
かさなりデザイン合同会社代表 鈴木淳
2010年インテリア業界から野生動物業界に転身。東北各地で農作物被害や人身被害などの対策指導、捕獲研究、生態調査などに従事。数百の集落で地域産業や将来を見据えた鳥獣対策提案、体制整備や合意形成の地域コーディネートに携わる。山形県のモデル集落アドバイザー、宮城県色摩町の鳥獣被害対策アドバイザーを務め、令和5年度より国見町鳥獣被害対策アドバイザーを務めている。

▽被害の原因と対策の具体化
「侵入防止柵や電気柵の鳥獣被害対策を行っているが、被害が高止まりしている。どうすれば…。」
国見町から相談を受けて、令和3年度と令和4年度に鳥獣被害対策研修会の講師を務めたのち、令和5年度から国見町の鳥獣被害対策アドバイザーとして活動しています。
国見町の鳥獣被害の特徴として、東北自動車道から西側エリア(石母田地区、貝田地区、小坂地区)で農作物の食害や農地の掘り起こしの被害が多いことでした。現状分析するため、既存の侵入防止柵約22kmの点検を行いました。
その結果、侵入防止柵の未設置やイノシシの突進による破損が見られ、合計93箇所で野生動物が出入りしていることが分かりました。
あわせて、野生動物の移動経路の環境調査も行いました。イノシシやクマは、基本的に身を隠して行動します。林帯や河川を通って人里に出没するので、河川周辺の藪や護岸の形状を確認しました。
その結果、滝川(小坂地区)上流部の一部に護岸がない区間と、周辺に林帯があり、移動経路になっていると考えられます。
現状や原因が分かれば、侵入防止柵のより効果的な設置や具体な対策が取れます。

▽地域住民との対話
現状分析をもとに、石母田地区、小坂地区、貝田地区で座談会を開催して、改善策の提案、住民との意見交換を行いました。侵入防止柵などの設置・維持管理は、地域で取り組んでいますが、人口減少や高齢化によって、労力的な問題があると話されていました。地域の課題を直接聞くことができて、有意義な時間でした。
貝田地区では、座談会で提案した侵入防止柵を早速追加で設置していただきました。
先日、貝田地区の農家さんから「侵入防止柵のおかげで、今までより掘り起こしの被害が減ったよ」という声をかけていただきました。お役に立てて、非常にうれしかったですね。

▽地域に〝より深く〟
国見町の鳥獣アドバイザーとして2年目になりますが、国見町は果樹被害が多いので、その現状分析と対策を提案していきたいです。また、個人で電気柵を設置している方が多いので、より地域に入って、効果的な電気柵の張り方を現場で提案していきたいですね。
鳥獣被害対策は、地域の暮らしを守るもの、いわば、〝まちづくり〟のひとつだと思っています。地域住民が自分ごととして主体的に行動することが必要です。
私も皆さんと深く関わって、まちづくりのお手伝いができたらと思っていますので、現場で見かけたら気軽にお声かけいただけるとうれしいです。

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