■第十五回 嫁の亡霊
背を向けて 葬式手伝う 嫁は幽れい
昔、ある家でお嫁さんが亡くなり、そのお葬式に大勢の人が集まったそうです。すると、その家のお姑(しゅうとめ)さんが出てきて、台所に立ち、集まった人たちに、あれして欲しい、これして欲しいと注文をつけていました。
いつの間にか人々に交じって、台所に立っている人がいます。それは亡くなったはずのお嫁さん…。気が付いた人はぞっとして、すぐには声が出せません。やっと声をしぼり出して「お嫁さんの幽霊が出たぁ、幽霊だぁ」と悲鳴をあげると、大騒ぎになりました。
その悲鳴を聞き付けて飛んで来たのがお姑さん。幽霊の後ろ姿を一目見るなり、ぐっと目をむき、「こらっ、何で姿を現したっ。だれに恨みがあるんだっ」と怒鳴りました。すると、幽霊の姿は見る間に薄れ、ぼわんと消えてしまいました。
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