■二升飯 ぺろりと 食べる八太郎
昔、大食いで有名な蓬田八太郎という男がいて、背丈が五尺二寸(一・五六メートル)くらいの小柄な人でした。
この辺りでも大食い大会のような催し物があり、その頃のルールは食べる人と見物人とが食べきれるかどうかを賭けていました。見物人は、八太郎がまさか二升飯を食べきれないと読み、二十円を賭けました。一日の手間賃が男二十七銭、女二十銭の時代で、二十円となれば今の百万円くらいになります。
そこで、米を量る人が袖に七合ばかり隠して、二升七合を炊き上げましたが、八太郎はぺろりと平らげてしまったそうです。
また、一升ますに山盛りに積まれたあめ玉も、すべて食べて、掛け金十円を一人勝ちしたとか。やる事すべて八太郎にとられるので、八太郎とは誰も賭けをしなくなったそうです。
ちなみに八太郎は、ばくちが好きで、賭けで得た金はばくちに消え、年中貧乏していたそうです。
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