国見町は、千年以上育まれてきた国見の歴史・伝統・文化をこれから百年後に伝えていくため、これらを生かした「歴史まちづくり」を進めています。このコーナーでは町や地域が行っている取り組みについて、毎月お伝えしています。
■岩手県平泉町「南部神楽鑑賞会」で太々神楽を披露
岩手県南部から宮城県北部にかけて、セリフのある芝居仕立ての神楽が数多く創作され「南部神楽(なんぶかぐら)」と呼ばれています。
国見町とつながりの深い平泉町では、毎年南部神楽を伝承する団体が神楽を披露する鑑賞会が開催されます。今年は、本町の内谷春日神社の太々神楽が招待され、「小弓(こゆみ)」「日本武(やまとたける)」「三人太刀(さんにんたち)」の3演目を公演しました。激しく曲芸的な所作のある太々神楽の特徴を、若い楽人たちが披露しました。
■国見町の食文化 鳥取福源寺の「南蛮味噌」
鳥取集落では、「福源寺地蔵庵観音堂」(町指定有形文化財(建造物))を、地域の女性が中心の「観音様を守る会」(観音講)が守り、巡礼者をもてなす「お接待」の文化が現在も残るなど、貴重な歴史文化遺産が多く継承されています。
その福源寺で、護持会役員と「六尺班※」の男性による「南蛮味噌」づくりが、毎年1月中旬に実施する「念仏講」の前日に行われています。
翌日の念仏講には、町外も含めた多くの檀家が集まり1年間の無病息災を願いながら、この味噌や地元の手料理を楽しみ、その様子が地域の風物詩となっています。地域の風習を守りながら、町内外の人々の結びつきも感じられる法会には、大切に受け継がれてきた国見町の食文化がありました。
▽作り方(概略)
(1)しぼり豆腐(36丁)を加熱して水分をとばし、油を加えた後、すり鉢に移しすりつぶします。
(2)約8.5kgの味噌を焦げないよう鍋で加熱し、油、砂糖(三温糖1kg・白砂糖2kg)、ほんだしを加え、よく混ぜ合わせます。
(3)豆腐が入ったすり鉢に、(2)の味噌と唐辛子900gを加え、滑らかになるまですり鉢で混ぜ合わせたら完成です。この作業を朝から半日かけて行い、辛味の強い南蛮味噌100軒分が出来上がります。
▽六尺班(ろくしゃくはん)
町内会の檀家を8班に編成し、毎年輪番で南蛮味噌づくりを担当する班をいいます。「六尺」とは、かつて土葬を行っていた時代に、棺を納める穴(深さ約1.8m=6尺)を掘る人足をいい、あらかじめその役割を割り振るために六尺班は存在しました。そのため、血縁者が葬儀になっても機能するように互いに親類関係のない男性で構成されていましたが、現在もその慣習のまま編成されています。当時から南蛮味噌づくりは行われていたようですが、土葬が禁止されて以降も六尺班の役割として残っているものです。
問合せ:
企画調整課地域振興係【電話】585-2967
あつかし歴史館【電話】585-4520
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