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おおたま野の花おりおり

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福島県大玉村

-花たちのおいたち-158
箱﨑美義 著

■157つづき
その予測数は未知のことなのか。数年前からスーパーなど、どこの売店でも毎年12月初め頃になると春の七草のセット(一揃い)が売り出され、たやすく買い求めることができる。フリーズドライ(凍結乾燥)の七草やレトルトパック(高圧、高温殺菌)になった七草玄米粥、また御飯にふりかけてお茶を注(そそ)ぐ七草茶漬けが食べられる現代、時代と変ってきた。すでに卆寿代を超え、数える拙者たち高齢者にとっては、正に幻のごとき食品と目に映り手が出ない。いつもの時代の荒波にもまれても正月の暴飲暴食と胃腸の疲れは、なくならないようだ。50年後、百年後は、どんな七草が残り目に映り出てくるのだろうか。知るよしのないことの一つなのだろうか。

■御数、発揮した食膳摘み草、ナズナ
貧しく食糧難時代が長く続いた今から50年以前代、昭和40年以前代、日本全国各地において山野に生え育った多くの野生雑草、山菜を貴重な食糧、食物としてきたヨモギ(モチグサ・蓬・艾)、わらび(蕨)や、やまぶきなど今でも多く活用されてきている。ここでは、その一つナズナを以下にとりあげてみた。ご存知のナズナは、よく日のあたる道端、畑や田の畦道などによく生え育つ。ちょうど食べごろの摘み草となるのは、花が咲く前の3月か4月頃が最適どき。だがこの時期は、タンポポの葉に似ているので間違い易い。ナズナとタンポポの葉は地面にへばりついて大きく生長する。その見分け、違いは、タンポポの葉は生長が早く大きくなり緑色が濃い。ナズナの葉は生長が遅く、小形で茶褐色である。摘み取ったナズナの葉は茹でて食べるが無味乾燥そのものだ。御数や茶の友などにするためには、十念(え・荏)や、ごま(胡麻)、酢みそなどの和え物とすれば恰好の逸品、一品となる。贅沢三味をつくした食膳を毎日囲む今どき野草を摘み草として食用とされる方々にとっては正に珍品となっているのかも知れない。現在、大玉村に野生食用植物の利用者は何人ぐらい居るのだろうか。他方ナズナは、食用の他に利尿、解熱、止血、下痢止めなどの作用、効力をもった漢方薬として多く利用された。乾燥したナズナを畳の下敷きにして害虫防止に用いた。以下にナズナの栄養成分をあげてみた。ナズナの生葉100g当たりエネルギー36kcal、水分86.8g、たんぱく質4.3g、脂質0.1g、炭水化物7.0g、カリウム440mg、カルシウム290mg、β-カロテン5200μg、ビタミンC110mg、ビタミンK330μgなどである。花言葉は「私は貴殿に一切をまかす」の奇抜な語句で知られている。(つづく)

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